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電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿
【ファンタジー その他小説】

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電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿 ―争い編―-4

 このビルは長年使われていないらしいが、その割には廃墟という感じはしない。手入れされているとは言い難いが、だからといって放っとかれているわけでもなさそうだった。
 前回文化祭で、探査によく使う〔幻影水晶〕〈ファントムクォーツ〉で幻影を生み出し、捜査に当てた。だがしかし、〔幻影水晶〕を使ってはみたが、このビルに起きてる〔現象〕と相性が悪いのか、幻影は相殺されてしまう。〔現象〕を分析する上でこれは鍵になるが、同時に自らの足で隅々まで捜さねばならないことでもある。
 しかし当たり前のように電気ガス水道は止まっているため、昼でも懐中電灯が必要だった。用意はしていたものの、あまりの暗さに、真琴は思わず懐中電灯を美由貴に渡す。
「……、ほ、ほら美由貴、先行って」
「ふっふ? 真琴怖いもしかして怖いの!?」
「こ、こんな如何にも幽霊出ますみたいなの、苦手……」
「ふふっ、真琴さん怖いんですって、巫女さんなのに幽霊怖いんですって……♪」
「な、何そのバカにしたどや顔……し、仕方ないでしょ誰だって苦手なものくら」
「わっ!?」
「ひゃああ!!?」
「あははは☆ あっはははは今の顔(*⌒▽⌒*)」
「む、ムカつくマジムカつく!! 何にムカつくってその朗らか過ぎるマジ笑いが何よりムカつくそこの段差から飛び降りて死ねこのバカ!!」
 そんなバカな言い合いをしながらも、真琴は周囲の警戒を怠らない。しかし、一階を調べてみたが、特に異変はなかった。なので階段まで向かう。
「そりゃさ、普通は一番てっぺんに宝物隠すよねー♪」
「脳みそが不通のあんたが普通を言うなんてビックリ。実はこのビル四階建てなんだよね」
「じゃあさじゃあさ、敢えて上から行っちゃう!?」
「それも手かな。……!?」
 微細だが明らかな気配の変化。美由貴も立ち止まり、真琴を見る。
「本命?」
「さあ? でもさ、大丈夫♪ 真琴には天使が憑いてるから!!」
「あー、ありがと。ついてるって部分の発音が気になるけどね」
 別に真琴は気にしていないが、美由貴は真琴の力になりたいらしい。美由貴の力は確かに桁外れだが、だけど真琴は〔現象〕そのものに関わりたくないから、そんな力は要らないとすら思う。
「ま、居るだけでいいし」
 正直、美由貴が天使であることはどうでもいい。だって、美由貴は美由貴なのだから。
 それだけでいい。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか」
「雨が降るか飴が降るかアーメンソーメンツタンカーメンチキンラーメン美由貴ねシオラーメン食べたぁい今度食べにいこ☆」
「うるさいバカ集中出来ないでしょうが!!」
 美由貴は相変わらず挙動不審にふわふわしている、と思っていたので振り向いた時、
「ひゃああっっあ!!?」
 驚いた飛び跳ねた悲鳴をあげたそして美由貴から逃げる逃げる逃げる! そして美由貴は真琴の後を追う!
「真琴ぉ? なんで逃げるのぉ?」
「まずあんた自分を見て鏡要らないからちょマジで近寄らないで!!」
「…………」
 美由貴が立ち止まった。真琴も距離を置いて美由貴の様子を窺う。
「……エメラルド・ボア? 可愛いね〜♪」
「あ、アタシは大蛇を可愛いっていう趣味ないからあんたの身体に巻き付いてるアーボックみたいなやつ外してからこっちきて……!」
 どう見ても三メートルを超える大蛇が、美由貴に巻き付いていたのであった。真琴は爬虫類なども苦手なのだが、このクラスの大蛇に気付かず巻き付かれるのは頭大丈夫かと思う。


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