電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿 ―争い編―-13
――真琴は両親を連れてくる前に。水晶のぺンジュラムで、園長先生の〔遺志〕を増幅した。
『ゆうとくん』
おそらく少年がここにきてから、初めて聴く声だと思う。
「先生っ!」
『つらかったね、くるしかったね』
「先生……どうしてみんなけんかするの? 何のために、順番つけるの? 勝たなきゃ、だ、ダメなの?」
『……みんながおなじかおで、おなじからだで、おなじかんがえをするなら、あらそいはきっとおきないでしょう。ゆうとくんは、じぶんとおなじひとがいっぱいいるせかいがいいですか?』
「…………」
『せんせいも、わかりません。でも、じぶんとちがうひとがいると、くらべるのがにんげんなんです。そうじゃないと、にんげんは、おとなになれないんです』
「やだ……やだ。あんな大人、なりたくない……」
『ゆうとくん。それでもひとは、おとなになります。かならずなります。さけてとおれないあらそいもあるでしょう』
「……やだよ先生、なんでそんなこと言うの?」
『……じかんが、ないのです。だからせんせいは、ひとつだけ、ゆうとくんにおしえておきたい』
「…………」
『……てんしは、いるんですよ。かならず、ゆうとくんをみてくれています。せんせいが、みまもってくださるよう、おねがいしましたからね……だから、ゆうとくんは……だいじょうぶです』
だから、こわがらないで。
ほんとうにたいせつなもの、なくさないためにも。