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電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿
【ファンタジー その他小説】

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電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿 ―桜編―-1

 桜。
 小林真琴〈こばやしまこと〉自宅でもある西園神社〈さいおんじんじゃ〉の境内にも桜はある。春になると咲き誇る桜は参拝者を増やす要因となっていた。


「う、うぅ◎◎ 美由貴〈みゆき〉、春嫌い。季節全部ダメ…×××」
「どうやって春夏秋冬乗り越えるわけ? ……いやいい答えなくて、」
「無視」
「バッサリいきましたねー。季節全部無視とは」
「プクト、あんた手伝わないなら部屋に戻ってなよ」
「花粉症の季節ですねー。風はもはや悪魔のウイルス照射機ですよー」
「なんか変な喩えだけど、プクトには関係ないでしょうが花粉症とは」
 いつも通りの会話だった。美由貴は相変わらずピエロメイクでクスリ漬けみたいにふわふわしてるし、物理的な意味でふわふわ浮いてるプクトとの生活ももう慣れた。
 プクトの見た目は、簡単に言うと後ろ脚のない白いチンチラに白いコウモリの羽根が生えた感じだ。緋の瞳や性別不詳の幼い声が可愛らしいが、いちいち癇に障る言い方をする。それすらももう慣れるぐらいの時間が経過していた。プクトもすっかり馴染んで小林家の一員となった。
「プクト、ミルクティ飲みたくなりました。もういいのですよ、参道だけ掃いとけばいいと思うです」
「階段は、まあいいっか。桜の花びらって、どうしてこんなすぐに散っちゃうんだろうね」
「それがワビサビってやつなのです」
「おーい、戻るよ美由貴ー!!」
 紋白蝶を猫パンチでシュッシュッと狙うあたり、本当に退屈なのだろう。「美由貴が野生化してますです」「なんでああなるかなぁ」「あのねぇ、蝶ってなんで虫に世界の世に木って書くか知りたくない!?」「興味ないけど」「何故ですかー?」「お前が調べれば、いいじゃないかぁ!!」理不尽な会話しつつ自宅に戻り炬燵に入る。小林家では桜の散る頃までは炬燵をしまわないのが通例だ。
「うう、もうすぐ四月なのにまだ冷えるなぁ」
「春休みは課題が少ないからいいですねー」
「プクトプクト、ポット温めとけコラ!!?」
「ダメですよー。すぐに怒ると美容に良くないです」
 そう言いつつプクトはポットをちゃんと温めるだろう。プクトはミルクティに眼がないのだ。
「はあ。平和だなぁ」
 最近は変な事件に巻き込まれることもない。春休みの課題は今回はさっさと終わらせた。今回は旅行にも行かずダラダラと過ごそうと、美由貴が紅茶を煎れるのを見ていた。プクトが来てから小林家から紅茶の薫りが消える事はない。意外と美由貴は家事はきちんとこなし、香り高いダージリンティを煎れることも出来るのだ。
「むぅ。茶葉はセイロンの方がミルクティには合ってるですよー」
「でもプクト以外はストレートだしね」
「ブラックブラック●′あ、あのねーローズティ買っていーい?☆」
「え、薔薇の薫りなんてあるの?」
「アップルマスカットにバナナやオレンジココナッツ。紅茶のフレーバーは色々あるですよー」
「バラバラ。バラバラ殺人だぞー◎◎」
「だからなんでそんな気分悪いこと言うかな。じぃさまに訊いてよそういうの」
「ダメって言うに決まってるのですよー。欲しがりません勝つまではの世代ですからねー」
「月月火水木金金月月火水木金金月月火水木金金月月火水木金金月月火水木金金……」
「いや顔近づけないでぶつぶつ言わないで目を見開かないでまばたきしてわかったからアタシから訊いてみるから」
 じぃさまは最近不機嫌だ。どうも紅茶は苦手らしく、最近はいつもお茶のペットボトルを買って飲んでいる。


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