夏の終わりに Last-8
しかし、
私の手が、ロングスカートの上から彼女の秘部を触ろうとした時、
「ダメ!これ以上は止めて」
篠原の手が私の手首を掴んで払い退けた。
「今日はその気にならないの…ね、分かって」
「…そんな…先生、いつも愛してくれたじゃないですか?」
“子供の問いかけ”に、彼女は真っ直ぐ私を見て優しく答えてくれた。
「今だってショウ君のことは大好きよ。口でしてあげるから。でも、今日はセックスしたくないの。分かって…」
「分かりませんよ!」
叫び声が準備室に響いた。私は、篠原に抱きつくと嫌がる彼女のスカートに手を入れた。
「止めて!ショウ君、ダメなの」
「何故ダメなんです!?先生」
私の手が、彼女のショーツを掴んだ瞬間、
「ダメだったら!!」
強い衝撃により、私は準備室の壁まで突き飛ばされた。
「…先生…」
篠原のあまりに強い拒否に、私は唖然とした。
「…とにかく、しばらくはダメなの…分かってちょうだい…」
「す、すいませんでした…」
私は、ボーッとしたまま服を身につけると、一礼して準備室を出て行った。
(…先生…やっぱりオレ以外にも居るんだ…)
オレンジ色に染まる夕暮れに帰る道すがら、太田の言葉が色濃く思い出された。
部活を終え、いつものようにチームメイト達が着替えながら談笑にふける。そんな中、いち早く着替え終えた私は太田の元に近寄った。
「どうした?正吾」
私を見た太田は、訝しげな表情を浮かべて訊いた。
「オレも…帰り一緒にいいかな?」
その時、周りからは“おまえが一緒になんて、いつ以来だ?、家の用事が待ってんだろ?”などという茶化す言葉が私に向けられた。
「うるさいな!今日からはゆっくり出来んだよ」
私が悪態をつくと、太田はただ含み笑いを見せた。
「コンビニでも寄ってくか?」
篠原から強い拒否を受けた翌日、私は準備室に足を運ぶ気にならなかった。
今はただ、彼女のことは忘れてしまいたい思いだった。
部室を出て、校舎のそばにある通路に向かう途中、
「アレッ?3階の窓んトコに誰かいるぞ」
チームメイトのひとりが、そう言って指を差す。十数人が一斉にその方向を見た。
「あれって美術の先生だろ。確か名前は…」
「篠原だろ」
「そうそう!やたらと色っぽい…」
「そう!オレ、初めての時は、ああいう先生とやりてえよ」
チームメイト達のヘドが出そうな言葉の数々。私は、校舎から視線を逸らし校門に向かった。