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「demande」
【女性向け 官能小説】

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「demande」<津上翔太朗>-10

「僕は…今の樹里さんに幸せになってもらいたいです…。」

それはいろんな確信をついた言葉だった。
音のしない二人だけの空間が、少し寒く感じて…言ったことを少し悔やんだ。

「どんなに幼く見えても、立派な執事さんなのね」

彼女は少し微笑んで、僕の髪を撫でた。
抱き合ってた時間は凝縮されたように早く流れ、僕は少し落ち着かなかった。

彼女は何度も何度もありがとうと言い、
最後に一度だけ さようなら と言った…。





―――――――――――

朱美さんとの夜のほうがまだマシだった。
切なさとか…寂しさって、苦手なんだよ…。

コートの襟を立てて寒さを防ぎ、大きなビルを曲がって車に乗り込む。

「お疲れ様でございました」
「………うん…」

執事のような運転手は、翔太朗の異変を静かに見守ってた。館までの道は、様々な騒音でごった返していたのに
、頭の中は真っ白な光で静まり返っていた。


「到着いたしました。雨が降ってまいりましたので、足元お気をつけ下さい」
「あ…うん。ありがと」


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