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G[M]
【サイコ その他小説】

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G[M]-7

何とも不気味な館だ。第一印象はまずそれだった。果てしなく広がるその館は、どこまで続いているわからない廊下が無数に張り巡らされ、何十もの部屋があると思われる。物音はかすかにしか聞こえない状況で、到底人が住んでいたとは思えない。
俺だったらこんな所住みたくはねえな、と一人で勝手に思っていた時。
『うあああああああああ!!!!』
突如として叫び声が聞こえてきた。激しい物音と共に耳をふさぎたくなるような叫び声が嫌な具合に混ざって、耳がダメになりそうだ。
先ほどと同じく叫び声は小さくなり、やがて何も聞こえなくなる。今回はそんなに凶暴なのか、と焦りを隠せなかった。
しかし、いつまでもこの状況じゃいられない。何としても捕獲してやる。
仲間が殺されたかもしれないのに、海斗は至って平然に自分の利益だけを考えた。
俺の予想からするとこの館は三階建てだ。大きな内庭があり、そこから三段階に分けてあることが確認できた。今聞こえてきた悲鳴はそう遠くはないはずだが、そんなに近いわけでもなさそうだ。と言うことは、おそらくこの階の近辺か二階ぐらいだろう。
どうする、とりあえず様子を見といた方がいいだろうか。自分自身に問いかけながら、ゆっくりと目を閉じた。
数秒してからまた目を開け、二階へとゆっくり近づいた。
階段から上の様子を伺うようにして、一段一段慎重に踏み出す。上からは何も聞こえず、ここにはいないのだろう。気を抜いた矢先だった。
『ヴァァァァ…………ヴォォォァァアアア!!』
突然のうなり声に体が凍り付いた。自分と壁を挟んですぐ隣にいる。だがおそらく相手は俺に気付いていないはずだ。
自分に必死に言い聞かせた海斗は、そのまま下へ下れば問題ない。とりあえず下へ降りてゆっくり考えよう。
何故かこのときはやけに慎重だった。いつもやりなれているはずなのに、さっきから何人も人が殺されているせいで変に緊張感が増している。少し落ち着けなければ。そう言う意も込めて下へ下ろうとした、そのときだった。
『だっ……だ…誰……かっ、たっ……助けて…くれ…………。』
聞き覚えのある声だった。
『だぁああああ!!だれかぁあああ!!うあああああ!!!』
“グチュッ”と生々しい音がした。
『ヴォォォ……。』
“ジュルッ”と音がした。まさか食べてしまったのだろうか。しかも、俺の予想からするとこの声は俺の知り合いのはずだ。心臓がバクバクと鳴り響き、延々と強い波を打っている。自分が死ぬかもしれない。しかし、この期に及んでそんな事は言ってられない。
一か八か、賭に出た海斗の目に飛び込んだ物は、予想通りではあるがとても悲惨な光景だった。そして、このときの腕時計は00:23になっていた。


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