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G[M]
【サイコ その他小説】

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G[M]-3

アグリーは、体の形、大きさ、どの面からみても人間とさほど変わりはしないのだが、声が明らかに違うし、行動も別物だ。人間の格好をして、“二足歩行”でもすれば話は別だが、裸のままで“四足歩行”で歩くことが多い。しかし、最近では普通に服を着て人間に必死に化けようとする奴がいる。だがもうひとつ、アグリーには決定的な違いがあった。それは臭いだ。人間の前を通っただけで凄い異臭がする。しかし、当本人たちは気付いてはいない。また、人間達も通報するときは隠れてすることを義務化されており、決して奴らが気付くことはない。
そんなアグリーが何故捕まえられるのかというと、性格がとてつもなく凶暴である。食べ物は食い散らかし人間さえも食べようとする。
今日の取り分は幸太の物となった。
当たり前なのだろうけど、少しは俺に感謝しろよ。いくら心の中で呟いても変化は起きず、その後の幸太の流し目にイラッとした。
あいつはおそらく俺のことを見下しているに違いない。
前から俺とあいつはライバルで、周りからも同世代の最強コンビなんて言われてた。二人がくめば右に出る者はいない。それほど俺たちは強かった。
しかし、途中から幸太は俺のことを下に見てきやがった。胸中では、最強コンビじゃなくて俺が最強だ、とでも思っていることだろう。それは最近の態度を見ていれば分かることだ。
二人で行動することも少なくなり、段々とあいつの手柄が多くなってきた。それでも俺はあいつが嫌いにはなれず、いつもああやって手伝ったりもしている。それが報われないんじゃな、とも思う時もあるが、この仕事で一番大事なのは住民を守ることだ。自分たちの競争などではなく、人を守ることを第一に考えることが自分たちの使命だと、心に強く言い聞かせた。
『解散!』
『ハッ!』
ロッカーに向かう途中に、ポスターが貼ってあるのが気になった。
〔あなたの街は、私達が守ります。 「アグリー撃退センター本部」〕と書かれている。
そんなことはきれい事だよなあ、と鼻で笑いながらロッカーに向かって歩いていった。
男臭さの漂う汚らしいロッカーに手をかける。大して物の入ってないロッカーは、海斗の脱いだ汗だくのシャツとクサい靴下だけが残っていた。そのときふと腕時計を見ると、11:34と点滅していた。
自分の荷物を全部袋に詰めた海斗は、センターを後にした。


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