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G[M]
【サイコ その他小説】

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G[M]-2




さっきから二階と三階を何回も行き来している。一階から三階までは丹念に探し回った。しかし、一階からは物音一つせずにしんとした空気が漂っていた。
それに比べ、二階と三階からは不可解な音、悲鳴が数多く聞こえてくる。
後一つ、四階が残ってはいるが、子供服売り場の四階に“あいつ”が潜んでいるとは到底思えない。
だったら、一番可能性があるのは二階の食品売り場と三階のファーストフード店のフロアしかない。
だが、いつまでもこうしてうろちょろしている暇はない。的を絞り、早急に見つけだし、捕獲しなければ。
さっきまでは確実に捕獲してくると意気込んでいたのに、ここまで苦戦するとはな。
とりあえず、三階のファーストフード店のフロアよりも、二階の食品売り場の方が“あいつ”の現れそうなところだ。生肉などが大好物だからな。
海斗は的を絞り、二階へと移動した。その移動中、それをワナにその隙に三階で“あいつ”がファーストフードなんざを食い荒らすんじゃないだろうな、と海斗は思った。
二階には、冷凍食品、生鮮食品、飲料類が置かれており、レジには誰も座ってなどいなかった。いつでも物がパクレる状態。無論、誰も盗みを働く者などおらず、その場は“人間”では俺一人だった。
遠くから何かがどさっと落ちた音がして、海斗は即座にその場へ向かった。するとそこには、生肉などがパックから無理矢理引き出されて食い荒らされていた。
最悪だ、一足遅かったか。時計を見ると、もうすでに十一時を回っていた。九時くらいに出動してきたはずなのに、結局何もせずに時間は過ぎていく。
何故だ、やけに最近腕が鈍ってきた気がする。年齢はまだまだいける二十二歳なのに、去年に比べるとだいぶ落ちた気がする。その理由は休みのなさに問題があるのかもしれない。このところ全然休みもなく、夜も遅い時間に帰って来て、飯をつくり、寝るのはいつも朝の四時くらいになる。
そんな不規則な生活のせいでここまで落ちたのか、と今更ながら思っていた。
食い荒らされた残骸を見つめながら、海斗は一人ため息をついていた。
すると急に停電し、上のフロアからもの凄い衝撃と共にとてつもない爆発音がした。
動かないエスカレータを使って、普通の階段のように三階まで一気に駆け上る。
すると、登り切る前にすぐに異変に気付いた。真っ暗闇の中に炎で照らされた灯りがある。煙はもくもくと幸太を取り巻いていた。そして、その先には“あいつ”が。
『幸太!』
一発だけ弾を撃ち込み、幸太の元へとすぐに駆け寄った。
『こりゃ、ものすごい“アグリー”だな。』
“アグリー”。醜い者。俺たちは奴のことをそう呼んでいる。
『こんな銃じゃ全然効かねぇよ。ランチャーとかバズーカとかねぇのかな。』
海斗はトランシーバーを取り出し、仲間に伝えた。
『リオンモール、三階にて、アグリーを発見。応援を要請する。普通の銃じゃまるで歯が立たない。ランチャー、バズーカ、小型爆弾何でも良い。とにかく強そうな武器をあるだけかき集めてくれ。』
『了解、今すぐそちらに第三部隊を突入させる。』
『了解。』
幸太はその間もちんけなピストルで戦っている。海斗も負けていられないと、幸太のピストルよりは数段強いリボルバーで撃ち始めた。
流石に二人で打ちまくれば、段々と相手も弱まってきたようだった。
まもなく第三部隊が到着し、バズーカと手榴弾を持ってきた。幸太にバズーカを渡し、海斗はまだ十分に残っているリボルバーで撃ち続けた。
五分くらいが過ぎたろうか。母親らしきアグリーは急にうなり始め、上を見上げた。何をしているかはしらないが、チャンスだった。
『幸太!そっちからスパイダーを投げつけろ!!』
海斗は幸太に小型の爆弾網を投げるよう言った。
すぐに海斗も反対側に回り、一斉にスパイダーを投げつけ捕獲完了。
スパイダーには特殊な液体が塗られており、アグリーはこれに弱い。触れただけで動けなくなってしまうほどだ。
その隙にサバイバルナイフなどで切断し、クーラーボックスに入れて車に詰め込み、みんなでセンターに戻った。


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