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あなたを知りたくて
【学園物 恋愛小説】

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あなたを知りたくて-6

再度向かいに座った美月は谷川を見て言った。

「眼鏡してないんだね」

「2人の時は外せって言ったのは瀬尾だろ」

別に私の言った事なんて守らなくていいのに…。

その反面、誰も知らない谷川の秘密に触れているのは自分だけなんだとの優越感めいた感情もある。

「今日の授業中何考えてた?」

「えっ?」

「眠かった訳じゃないだろ」

見透かされてる……?

「別に…」

口籠もる美月の前に体を乗り出し、更に問い詰める。

「俺の事…かな」 

図星を差されて美月は真っ赤になった。

「せんせ…ってわかんない…」

美月はそう言い残すとプリズムと飲みかけのコーヒーを置いて部屋を出て行った。

谷川はため息をつくと

「俺も屈折してるよなぁ」

プリズムを取り上げて眺めた。





部屋を出た美月は走り出したい気持ちを抑えて、でも走るのと大して変わりない足取りで廊下の突き当たりにある非常階段へ続く扉を開けた。

誰もいない階段に腰かけて抱えた膝に顔を埋める。

せんせってば絶対変に思ったよね?
でもあんな風に聞かれたら言えないよ…。

谷川が何を考えて、自らを使い分けるような事をしているか美月にはわからない。

それこそ大人の事情ってやつかもしれない。

しかも美月にはそこに踏み込む権利もない。

だけど谷川の事が知りたい気持ちは拭えない。

ストレートに聞いて言われるのが怖い。

『瀬尾には関係ない』と。





「瀬尾さん。放課後、準備室に来てください」

谷川が授業終了後、美月に耳元で告げた。

思わず顔を上げる美月に構わず谷川は教室を出て行った。


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