電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿 ―文化祭編―-6
――フワァァァアン……
何かに共鳴するような、不思議な音がペンジュラムを更に揺らし。
ペンジュラムによって、〔現象〕が、発揮された。
「……三人かぁ」
異常な状況下であまり精神統一出来なかったが、それでも“三人の自分の幻影”が出来たのは、上手くいった方かもしれない。
真琴の幻影は、真琴の意思を汲み、壁をすり抜け、校内の様子を探りに行く。
〔幻影水晶〕による〔現象〕は、そのまま幻影を作り出すことにある。幻影は言わば幽霊やホログラムのように実体がないので、探査や攪乱によく使う石だ。
逆に言うと、実体に対し干渉出来ないため、脅しや目くらましには使えても、攻撃は出来ない。
「すぐすむといいなぁ」
言いながら鬱になってきた。これほど大規模な〔現象〕が、何者かの〔意志〕なくして起こるのは考えにくい。
「はぁ」
楽しい筈の文化祭。何故こんなことになったのか、誰か教えて欲しい。
そんな風に思うと間もなく、幻影から情報が入ってきた。
「……え? 嘘?」
幻影から、送られてきた情報。
なんと体育館に、複数の動いている人間がいる……!
「ちょっと、体育館に」
「そうやってバカにしてぇ!! ふざけるなバカヤロー!! いい、だからね、決めつけは良くないんだって……」
「……あの〜美由貴さん……?」
まだ美由貴は心を閉ざしたまま、消火器に怒鳴っているところだった。
この状態から美由貴を説得するのは、凄まじく労力がいるのは経験上わかるが、労力以上に時間がもったいない。
「要するにね、目に見えるものだけが本当じゃなくてさ、」
ぶつぶつ消火器に話しかけながら、それでも美由貴はなんとか付いてきた。
消火器って重い。けど、説得するとか引き離すやり方を考えたら、消火器を体育館まで持っていく方が絶対早いのだ。