文化祭-2
とか何とかやってるうちに、元々そんなに広い空間では無かった為に、さしたる展開もなく、出口が近づいてきた。
「ま、その話はまた今度、気が向いた時話して下さいよ」
という事で落ち着いた。
「おつかれさまでしたー」
これまた、入り口よりはマシだったが、やる気の無い声で、オバケ屋敷という名ばかりの暗い教室をただ歩くというイベントは幕を閉じた。
「噂は所詮噂かー」
特にこれといった感想があの空間に抱けなかったので、噂についての話題に切り替わるのには何ら疑問を感じなかった。
「そもそもオバケ屋敷をやったからって幽霊呼び寄せられるワケでもないっしょ」
「そうなんだけどなー。それにあんなチャチな作りじゃなおさら、だよなぁ……何を期待してたんだろうホント」
「多少は楽しめたからいいじゃないっすか。ほとんど時間の浪費でしたけど」
オバケ屋敷なんて大抵そんなもんだ。
「噂流すってとこまでは良かったけど、実際何にも無いと、ねぇ?」
などとぶつくさ言いながら、幽霊研究会は解散の流れになっていった。
このままついていっても、どこかで幽霊談義が繰り広げられるだけだろうと思い、折角だからもう一度オバケ屋敷に行く事にした。
誰も耳を貸してはくれなかったが、さっきの噂話、心当たりがある。
確か、十年くらい前になるだろうか。
オバケ屋敷をする、という話になった日の帰宅途中、交通事故に遭った人がいる。
当時、幽霊研究会に入っていた事もあって、えらく騒がれた。
実際にはオバケとか幽霊とか全く関係なく、ただの不注意だった上に、事もあろうか幽霊部員。
幽霊研究会の幽霊部員だなんて、シャレにもならない。
結局、幽霊研究会の幽霊部員が幽霊になる事になってしまったというのが、この噂話のオチだ。
オチも付いた所で、折角だからもう一度、誰かに憑いて、オバケ屋敷に行く事にした。