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文化祭
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文化祭-1

「なぁ、次どこ回る?」
「太陽系」
「お前は地球かっ!」
 こんなやり取りをしながら向かう先はただ一つ、オバケ屋敷だ。
 定番と言えば定番だが、何故オバケ屋敷をしたいと思うのだろう。
 ただ暗くしていれば、それっぽく見えるからだろうか?
 それとも……
「でさ、俺らが行くことに何か意味があるワケ?」
「無いだろ。話に信憑性を持たせたいだとか、そんな類じゃね?」
 今回のフレコミ、仕込みナシ。本物が見たいアナタに、だそうだ。
 単なる噂話に過ぎないが、以前同じフレコミでオバケ屋敷をしたクラスで、不審な死に方をした人がいるらしい。
「そもそも手抜きだろ。噂を先行させてラクしようって魂胆じゃないか?」
 カーテンを閉め、机を端に寄せるだけ。
 そんな光景が目に浮かんだ。
「でもま、乗せられてやろうぜ。どうせこんな日は暇なんだから」
 文化祭じゃなくても毎日暇だろ、という言葉を呑み込んで頷く。
 とは言え、こちらをみていないので意味は無いが。

 オバケ屋敷主催のクラスから、直々にお声がかかったこともあり、ご丁寧に幽霊研究会のたすきまでかけている連中を軽く見やり、こんな集団嫌だよなぁ、と感慨にふける。
「お、ここか」
 入り口には、やる気のなさそうな受付が一人。
 おおかたクジ引きで決めさせられたのだろう。
「幽研の者ですが」
 そのたすき見りゃ分かるよ、というツッコミは置いといて。
「はぁーい。ご自由にどーぞー」
 やる気ナシ!
 近年稀に見るやる気のなさ!!
 お父さんお母さん、僕は泣けてきます!
 こんなんで日本の未来は明るいのでしょーかっ!?
「はいどーも」
 先頭の人について中に入る。
「これは……思った以上に手抜きだな」
「ソーデスネ」
 半ば予想が付いていただけに、返答にもやる気がない。
「何か感じるか?」
「やる気の無さはひしひしと」
 率直に申し上げた。
「ところでさ、幽霊っていると思う?」
「代表のクセに何をトチ狂った事を仰るやら」
「いやさ、最近、幽霊って実は宇宙人なんじゃないかなーとか思っててさ」
 これまた突拍子も無い事を。
「無理あり過ぎ。却下」
「いやちょっとは聞こうよ」
「わざわざオバケ屋敷、と銘打たれた手抜き空間で話す内容ですか?」
 微妙にトゲがあるような言い回しだが、現状を考えると違和感が無いのが不思議だ。
「ホラ、幽霊の話してると寄ってくるって言うじゃないか」
「したいのは宇宙人の話じゃないんですか」
「いや、まぁ……そうなんだけどね」
 そこ認めちゃうんだ!?
 何にせよ、暗くてよく分からないが、声の調子から恐らく暗い顔をしているのだろうから大目に見ておこう。
「まぁ暇だし、聞きましょうか」
「そう言われると話しにくいなー」
 何だコノ天邪鬼はっ!!


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