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じゃんけん大会
【サイコ その他小説】

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じゃんけん大会-4

『あいつは誰だ、大事な商品を台無しにしてくれやがって。』
川口は完全にキレていた。
『すいません川口“先生”、すぐにクビにしますので。』
『一発撃ち込めばそれだけで死ぬんだから、後から何発も撃ち込めばそれだけ商品の値が下がるんだよ。』
グラスの中に入ったウイスキーをぐいっと飲み干し、音を立ててグラスを置いた。
『しかも、田中なんかは良い材料だったのに。こんな事になるなんてな。クビどころか殺しちゃっていいよ。』
かしこまりました、と言うようにお辞儀をした。
『それより、商品というのはいったい何なんです?』
次のウイスキーをつぎながら言った。
『オマエ知らなかったの!?それでこの仕事やってるなんて凄いな。何で引き受けたんだよ。』
軽く飲んで、満足そうに笑いながら川口は続けた。
『あいつら全部、明日から“人造人間”改造されんだよ。だから、傷つけられちゃ困るだろ?』
その人は少々驚いた様子だった。しかし、なるほど、と言うようにゆっくりと頷き、こう続けた。
『それでですか、あんなにみんなの扱い方が慎重だったのは。』
川口は満足げに微笑みながら言った。
『今日はもう返りなさいよ、明日の仕事が控えてるんだから。今日の連射銃を持った男みたいなへまはしないでくれよ。』
『はい。』
その人は小さく笑った。
『じゃあね、荒崎英子ちゃんっ。』
『んもうっ、フルネームで呼ばずに、七番目の下部、「G」と呼んでくださいよー。』
『ああ、分かった分かった。』
『では、お休みなさい。』
英子は小さくお辞儀をして、去っていった。


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