右腕<初恋-4
「まあ泣くなよ。べつに右腕が再起不能になったわけでもあるまいし。一目惚れした女の子を右腕一本犠牲にしただけで助けられたんだからさ」
俺は慰めと俺のせいで傷をつけた詫びを込め望月に話した
そして初恋の、しかも一目惚れした女の子が目の前にいるという事実に俺は密かによろこんだ
「あのね、私…あなたに助けられて以来あなた以外の男には興味がわかなかったの。私もあなたに一目惚れしちゃったのよ。だからこんな風になった責任とってくれる?」
「え?どういう意味…」
気付くと望月の腕が俺の首の後ろにまわされていた
そして唇が触れた
「俺のファーストキスぐわぁ!?」
「私だって初めてよ。でも初恋の一目惚れの相手に奪われたんだから本望じゃない?」
「うーん…」
「今日は学校さぼってどこかにいきましょうよ」
そういうと望月は俺の右腕を引っ張った
しかし痛みはなく俺の心はなぜか晴れ晴れとしていた
はなしている間に学校の授業の始まるチャイムがなっていたので俺は抵抗するのを諦めた
それから数分後に近くの公園に着いた
「こんどからアリサって呼んでね」
「わかった。望…アリサ」
「私のせいで後遺症が残ってしまったけど許してくれる?」
「あれは俺のせいだろ?俺が勝手に走って怪我した。それだけのこと。それよりも俺のせいでよ子供心に傷つけちまったんだよな。すまない」
「なに謝ってるのよ。あなたがいなければ私はここにいなかったわ。助けてくれてありがとう」
「アリサは優しいな」
「あなたの勇気には負けるわ」
「俺のことも勇って呼ぶ?名前なんだけど」
「当たり前よ。」
笑いながらアリサは答えた
そんなアリサを俺は抱き締め耳元で囁いた
「ずっと好きだった…」
「うん…私も…」
初恋は成功しないとよく聞くがまさかそれを俺が覆すとは思わなかった
しかも6年も前の初恋を
でもいまはそんなことはどうでもよかった
アリサがいれば俺は…
END