未完成恋愛シンドローム - 白昼夢 --13
「・・なにしてん」
「んー・・」
つか、近い。
近すぎて、まつげすらよく見える。
長めに切り揃えたコタローの髪の毛が揺れる。
枕から感じたものよりも、より強くコタローの匂いを感じる。
「ひゃあっ」
いつのまにか後ろに廻っていたコタローの手が、Yシャツの上から背中を撫ぜる。
「なにしてんねん!」
声を荒げた瞬間―
「ちゅっ」
「?!!?!」
いきなりコタローの口唇が、首元に吸い付いて来た。
「おまっ・・!?」
「はむっ」
「ひっ」
なにが起きたのか理解できず、抗議の声を上げようとしたと同時に、首筋を軽く甘噛みされた。
「てっ、めえっ!!」
―バキッ
「てっ」
あまりといえばあまりのコタローの行動に、一発殴った。
「・・・」
「・・・・なんやねん、その瞳は」
怒ったのか、少し強い視線でコタローがオレを見てくる。
「・・・お前が、あっ」
と、背中に廻されていたコタローの手がオレの腕を掴み、頭上で固められた。
「なにすんねん!!」
「なあイヴ」
「・・・?」
静かな声で、コタローが口を開く。
「こっから腕抜ける?」
「!!」
確かに。この体勢からじゃ、よっぽど力の差がない限り腕は抜けない。
「くっ・・!」
それでも思いっきり力を込めて、なんとか腕を抜こうともがく。
「無理やって。身長も体重も俺の方があるし」
「・・っ」
「剣道やってんねんから、腕力でも負けてるし」
「・・・」
勝手なことをと思いながらも、それは心のどこかで間違いないって気付いていることだった。
「イヴがどんだけ強なろーとしてたかは知ってるけど」
「・・・・」
「結局、こーやって負ける時は負けんねんで」
「・・・・・・」
ただ睨みつけることしか出来なかった。
せめて関節を取ってやろうとも思っても、腕を頭の上で交差させられ、手首に体重を乗っけて押さえられてる以上、それすら叶わない。
「・・・・で?」
どうにか出した声は、掠れていた。
「ん?」
「・・オレが弱いって教えて・・・なにがしたいねん」
「・・・」
睨みつけながら聞いた。
なにが目的なのか、未だに読めない。
「イヴは充分強いで」
「言ってること違うやんけ!」
苛立ちから声を荒げる。
「ちゅっ」
「んっ・・?!」
首筋に、コタローがキスをした。
「おまっ・・ふざけ」
「ふざけてんのかな」
キスされた所に、熱い感じが走った。
「ふあっ」
「弱くはないよ、イヴは」
「っく・・・」
「ただ、そこまで自分に厳しくならんでもええやん」
熱い感じが段々上がっていき、傷跡に触れた。
「んっ」
「ぺろっ」
「やっ!」
明らかに舐められた感触。
―なに、されてんねん、今・・
コロンの匂いがする。
腕は固められてる。
首筋にコタローの―