恋愛武勇伝 第二章 蠢動編-4
あぁ、何てことを!
入れてあるのは、小説だけだもんなぁ。
手紙を入れようかとも思ったけど、何て書いていいのか分からず。
やったね!
住所の書き忘れなんて、するわけがないじゃないか!
それに、midoriさんのお母さんも、誉めてくれたって言うし。
「どんなひとなの?お母さんも、会ってみたいわぁ。」
ひっひひ!
こらっ!何て下品な笑い方をするんだ。
へへ・・・、春ですねぇ、春ですよ。
お外も春だし、こっちも春だぁ!
来たょ、来たよぉぉぉ!
ビンビン、だぞぉぉぉ!
それにしても、なんて素敵なんだろう・・・。
midoriさん、そのものじゃないかぁ!
すごく大人の詩を書くんだぁ・・・
それに比べて、僕の詩ときたら・・
まるで、・・・子供だ・・・
幾つなんだろう・・?
midoriさんて。
タメ年だとばかり、思ってたけど。
お姉さんなんだろうか
僕のこと、子供なのね
って、思ってないか?
こうなれば、詩は諦めた。
小説で勝負!だ。
おいおい、何言い出すんだぁ?
勝負してどうなるんだ。
midoriさんと、喧嘩してるつもりなのか?
◇◇◇◇◇
行かなきゃ、良かった。
到底僕が太刀打ちできることじゃ・・・
でも、こんなに打ちのめされるとは、思いもしなかった。
そうだょな、そうなんだょ。
あんなに素敵な女性だモン!
恋人がいるのって
当たり前じゃないか!
ひとりで浮かれたりして、まったくどうかしてるぜ。
でも、驚いた。
全盲の老人が、まさかあの会合に顔を出されるなんて。
読み上げられる作品を、じっと、ただ黙ってじっと・・。
“うんうん”と頷かれるだけの、
顔をほころばせるだけの、老人。
偶然にも隣の席に座ったぼくは、すごい感銘を受けた。