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キライ
【学園物 恋愛小説】

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キライ B-6

「誰だぁ?片付けてないの」

隅っこに転がってたバスケットボールを拾って軽くドリブルをした後シュートする。

ボールは綺麗な放物線を描いてゴールに吸い込まれていった。

ボールの落ちた音が体育館に響きフェードアウトしていく。

立ち尽くしている私に大迫がボールを投げる。

反射的に受け止めて大迫を見るとゴールを指差す。

体育以外でバスケなんてやった事ないから入るはずないって思ったけど、さっきの大迫のフォームを思い出しながら投げてみた。

ボールはゴールの輪っかの前に当たり鈍い音がして変な方向に弾かれた。

それを大迫が受け止めてまたゴールに叩き込んだ。

私こんなとこで何やってんだろ…。

ぼんやりと大迫を眺めていたらふいに声が聞こえた。


「大迫くん?」

体育館の入り口でマネージャーがこちらを窺っていた。

「何してるの?」

私をチラっと見て大迫に聞く。

「ん?ちょっとね」

あぁ!
こんな空気耐えられない!
するならさっさと告白しちゃって! 

二人に背を向けて目を閉じる。

「もう閉めちゃうんだけど…」

マネージャーが困惑した様子で大迫に問いかける。

「あっ、俺閉めとく。伊藤は帰っていいよ」

えっ?

でも…とか何とか言っていたマネージャーを帰し大迫は鍵を預かった。

今、告白しないの?!

拍子抜けして体の緊張が解けた。

入り口の鍵を中から閉めた大迫が小さく言った。

「これで邪魔者は入ってこれないっと」

振り向く私に大迫がいつになく真剣な顔を向けた。

「篠田香奈さん」

大迫が近づいてくる。

私はその場に張りついたようになって動けない。 

「ずっと好きだった。今度は本物のカノジョになってくれませんか?」

えっ?
私? 

キョロキョロと周りを見回し、私と大迫しかいない事を確認する。


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