青空の下で-9
「さあ、今度は……そうだな、このスリムパンツを脱ごうか。あっ、全部脱いだらだめだよ。パンティと一緒に膝上のところまで下げて」
「クッ……」
もう従うしかない。
真理子からは、抗う気力が完全に失せていた。
それどころか、まるで自分の心を吐露するかのように言われるままパンツのボタンをはずし、ジッパーを下げていった。
躊躇しながらも、パンティの縁を一緒に掴んだままユルユルとスリムパンツを膝まで下げていく。
山田の食い入るような視線が、股間中央の黒いヘアの頂きに痛いほど感じられた。
「ほう、アソコの毛はけっこう濃いですな。いや、いいですよ、そのほうがエロい」
屈辱と羞恥に膝がガクガクと震える。
「それじゃあ、後ろを向いて車に両手をつき、おもいっきり尻を突き出しましょうか」
屈辱に顔を歪めながらも、真理子は命令に逆らわず後ろを向いた。
車のドアに両手をつき、背中を反りながら恐る恐る豊満なヒップを突き上げていく。
山田への憎悪は、確かに増していた。
しかし、肉体の火照りがなぜか冷めようとしない。いや、それどころか、さらに上昇しているような気がする。わたしには変態の気がある……そう思わずにはいられなかった。
欲情するはずない相手に、また、感じるはずのない変態行為にも秘芯は熱く燃え、ヌメヌメとした淫蜜をとめどなく分泌させている。
「ほら、もっと足を開いて、尻もグイッと高く」
山田は、とても三十路の女とは思えぬほどの流麗な下半身に、感情を抑えながら出来るだけ滑らかな口調で指示した。
(あああ……こ、こんなポーズ……恥ずかしい……いっそ消えてしまいたい……)
大きな瞳が再び潤んでくる。
このまま足を開いてしまえば、性器はおろか、夫にさえマジマジと見せたことのない肛門までも晒してしまうことになる。
真理子は、排泄器官を覗かれるおぞましさにゾワゾワと鳥肌をたてた。
急かす山田に、真理子がゆっくりと両足を開いていく。
森林特有の冷たい風が、すぐに剥き出しの股間へ吹いて来た。
はじめて味わう不思議な感触。
吹き付ける風は、先の心地よさとは全く違うものに感じた。
「おお、いいよ、いいね〜。奥さんの尻、最高にエロいよ〜。なんか運動してんの? まあ、そんなことはどうでもいいか。それにしても、ほんとに綺麗だな……うちの嫁とはえらい違いだ。こんなにふくよかなのに少しも垂れてない。肛門もツルツルしてて綺麗だし」
(ああ、どうか、もうあんまり言わないで……は、恥ずかしい……)
強く心の中で訴えるも、デリカシーのかけらもない山田が次々に秘部の実況をつづけてくる。
青空の下に晒されたセピア色のアヌスが、ネチッこい視線に脅えてヒクヒクと蠢いた。
「きゃっ!?」
生暖かい肉布団のような手にギュッと尻肉を掴まれ、真理子がビクンと下肢を震わせながら小さな悲鳴をあげる。
そんな真理子を鼻で笑い、山田が双丘の円やかなカーブに沿って厭らしく手を這わせていく。
その手に悦楽を求める肉体が、浅ましくも期待感にブルブルッと震えた。