知的好奇心にて-2
***
「み、みー…あ、ミンククジラ」
「あ、あのさ、齋藤」
笠井が真剣な表情でこちらを見ている…もしかして…?
「なっ何?笠井」
「あの……
…この前言ってたDVD、貸して欲しいな、と、思うんだけど、さ」
明らかに挙動不審だ
でも、落胆が大きくて、そのことは特に気に留めなかった
「分かった、じゃあ持ってくるからちょっと待ってて」
「ん、うん」
笠井から誘ってくると思うなんて、期待し過ぎだよなぁ
ちょっぴり切ないため息をついて部屋を出た
***
バタン、とドアが閉まる
いざとなると緊張してしまう
でも、もっと齋藤のこと知りたい…
…だから…
私は意を決して、ポケットから液体の入った小瓶を取り出す
インターネットで買ってしまった…
…媚薬…
「はぁ…さすがに引かれるかな…」
少しの時間悶々としたけど、結局私は蓋を開けて中身を齋藤のカップに入れてしまった
入れちゃった…
少し後悔し始めた頃、ドアが開いた
***
「ごめん、お待たせ。いつも置いてるところになかったから探してて」
弟がいつまでも返さないから、無断で部屋に入らせてもらった
急いで戻ってきて喉が渇いていたので、少し冷めた紅茶を一気に流し込んだ
「あっ!齋藤っ…」
俺がお茶を飲んだ瞬間、笠井が驚いたような声を出し、こっちもびっくりした
「えっ笠井どうしたの?」
「ぜ、全部飲んじゃったの…?」
「え?うん。なんで?」
「あ、いや、何でもない」
…笠井、どうしたんだろう…?