StealthB-9
「…免震構造…これなら…」
ひとり興奮気味の恭一に五島が声を掛ける。
「今さらビルの図面なんか見て、何を思いついたんだ?」
「驚くな。盗む方法を考えついたんだ!」
答える恭一の目は、いつもの自信に溢れるモノだった。五島が話に飛び付いた。
「そりゃ本当か!」
「ああ、まったく!何故もっと早く思いつかないんだ。こんな簡単な方法…」
「もったい振らないで早く教えろよ」
それから20分。恭一は思いついた作戦の概要を話した。五島は最初、俯いていたが、話が進むうちに顔を紅潮させた。
「……以上が作戦のアウトラインだ」
恭一の声が止むと、五島は興奮を抑えるように深い呼吸を数回行い、
「…確かに、素晴らしい作戦だ…しかし、先日のように不確定要素もある…」
「だから、今からおまえと詳細を詰めたい」
「今から?」
「この作戦に関して、オレはあくまで端役だ。主役はおまえと美奈なんだ。特におまえの技術がな」
五島は恭一の言葉にニヤリと笑った。
「また、オレをその気にさせようとするのか?」
そう言うとポケットからマールボロを取り出し火を点けた。
恭一も真似るように、キャメルを取り出す。
「…ところで、美奈も仲間にするのか?」
五島が訊いた。
「あいつには知らせない。その方が良い演技が出来る」
恭一の答えに、五島は顔を緩ませる。
「それを聞いて安心した。すぐに作戦を詰めよう」
恭一はソファから立ち上がり、
「その前にメシにしよう。考え事をしてたら腹が減った」
五島と2人、オフィスを後にした。