飃の啼く…最終章(後編)-45
「それはね…」
すこし照れくさくて、私は笑う。
「この世界を守るために戦った人たちのお話なの。ゆうとはやてが、大きくなったら話してあげるね」
「うん!約束ね!」
嬉しそうに微笑む彼女の瞳が、美しい金色に輝いた。
語られるべき物語には必ず存在するように、私の物語もこうして終わりを迎える。けれど、私の毎日は続いてゆき、私の子供達の人生も続いてゆく。世界は刻々と形を変え、そして何も変わらないまま存在し続ける。
その日々の中で、私は毎日感謝するのだろう。かけがえの無いものを、私に授けてくれたすべてのものに。そして……あの日私を巻き込んだ、雨から始まる物語に。
おしまい