ガリガル3!!-1
あたし、日向 かのん。
あたしにとって朝が一日で一番疲れる時間帯だ。校門の前で頬をパシパシと叩いて気合いを入れるのが毎日の日課。
「あ、かのんちゃん!髪巻いてるの?可愛いー!」
早速来た…!
「今日も可愛いね。羨ましーい」
「かのんちゃん、足細ーい!」
「あー、ハイハイ。ありがとありがと。あ、うん、おはようさん」
あたしは顔の前でヒラヒラ手を振り、きゃあきゃあ言う女の子たちの中を縫うように歩いて玄関へ向かう。
ローファーを靴箱にしまうと、ブレザーのポケットに両手を突っ込みマフラーに顔を埋め、足早に教室へ向かった。
「かのんちゃーん、おはよー!」
「今日の髪型可愛い〜!」
「俺、マフラー同じの買おうかなぁ」
「かのんちゃん!こっち向いて!」
あ〜あ〜あ〜。
ウザいウザいウザい!
こっち向いてと言ったバカ男の要望に答えてあたしは振り返った。大きく息を吸い腰に手を当てる。
「うるさあぁぁぁー─────い!」
あたしはバカ男共に向かって叫ぶ。一瞬シーンとなるがすぐにまた
「怒ってても可愛いーっ!」
あーもう、ダメだ…。
教室に着くなりあたしは自分の席に雪崩れ込んだ。
「はあぁぁぁ」
ため息の出ない日なんて無い。
「おはよ、かのん。今朝も凄いねぇ」
「あ、おはよう、風子ぉ」
顔を上げると笹塚 風子が困ったように笑っていた。
「そしておやすみ」
あたしはまた顔を伏せて目を閉じる。精神的にドッと疲れていて休養が欲しい。
「あ〜、かの〜ん!」
「ふぇ〜」
風子にパシパシと頭を叩かれてあたしは頬杖をついた。
「朝っぱらからお疲れ様」
少し笑いながら風子は前の空いている席に座った。
「本当だよ。毎朝毎朝たまんないよ、全く」
「まぁいいじゃん。可愛いって皆褒めてんだから」
確かに、そう。褒められてるんだからってよく言われる。