ガリガル3!!-8
「…うん」
かあっと海の顔が赤くなって行く。と、同時にあたしの顔も。
「本当はさ、かのんと一緒いたいってだけで追い掛けて来たんだよ」
「何それ!そんなんじゃ、あたしのこと…」
好きみたいじゃん。
これ以上、あたしのこと浮かれさせないでよ。
「俺、かのんのこと好きなんだよ」
…今、好きって。
「え?」
海のキラキラした瞳にあたしが映っていた。
「可愛い可愛いって言われても偉ぶらないし、面白いし、それに自分をしっかり持ってるし」
そんな目で見ないでよ、まだ、信じらんないよ。
「サツキって子、海のこと好きみたいだった」
海は人気があって誰にでも平等だから。あたしが特別だなんて思えない。
「ははっ、らしいな。前に告られてさっきもまだ諦められないって言ってた。けど、ごめんて言ってかのんトコに来た」
「髪触ってたじゃん」
だから、あたしに期待させないでよ。もう、あんな痛い思いしたくないんだよ。
「ゴミ付いてた」
海が笑った。
「そうなんだ…」
ねぇ、海。あたし、また浮かれちゃいそうだよ。
「とにかく俺、かのんのことが好きなんだって!かのんは?」
…浮かれちゃうか。
「…あたしも海のこと好きです」
海が「うん」と微笑んだ。
トクントクンと心地よいリズムが身体中めぐる。
ゆっくり海の顔が近付いてきて…あたしは目を閉じた。唇に柔らかな感覚…。すごく気持ち良い。フワフワする。
どちらからともなく離れて目があった瞬間、プッとお互い吹き出した。
「あぁ。これでやっと、明日からかのんのこと可愛いって言う奴ぶっ飛ばせる」
「やっと?」
「ずっと前から嫌だったんだよな。お前のこと可愛いつっていいのは俺だけって思ってたけど、彼氏じゃねぇし、あ〜ってなっててさ」
何か今、さらっと嬉しいこと言ってくれちゃわなかった?
「あたし、ずっとずっと海に可愛いって言ってもらえるよう頑張るね!」
チュッと音を立てて海のほっぺたにキスをした。
一瞬驚いたようだったけどすぐに優しく微笑んで、あたしをキュッと抱き締め
「おぅ、頑張れよ」
と呟いた。
そりゃ頑張りますよ。何たってあたしは『ガリガル』なんだから!!
【END】