ガリガル3!!-7
『このフアフア寝癖結構好きだけどな』
「ハァハァ…」
さっきの海の姿が頭に浮かぶ。
またズキズキと心臓が痛みだして、耐えきれず涙が溢れた。
海に髪を触られたぐらいでドキドキしてバカみたい。
海は誰でもいいんだ。あたしのことなんて何とも思ってないんだ。それなのに好きな人だなんて言おうとして。ていうかちょっと言っちゃったし…もう、バッカみたい!
そう思うと自分が情けなくて、悔しくて、あたしは声を上げて泣いた。
人目なんて気にしないで上を向きながら大声で泣いた。
「かのん」
急に名前を呼ばれてあたしはしゃくりあげながらも目を凝らした。声は聞き覚えのある大好きな声…。でもまさか…。
「かーのん」
ぼやけた輪郭がハッキリしてきた。
「お前どうした?」
海だ。
海があたしの目線まで腰を屈めて頭を撫でた。
「海の…バカァーァァァアアア!!」
またあたしは大声で泣いた。
「何しに来た訳?」
ここの小道には誰もいない。一頻り泣いた後のあたしは強気だった。
段々落ち着いて来て今度は海に対する怒りが込み上げて来たらしい。
「何しにって?」
「女の子いたのに、何であたし追い掛けて来た訳?」
海は軽く頭を掻いた。
「お前の返事聞きそびれたからだよ」
トクンと胸の奥が鳴った。
あたし、怒ってるのに…。
心底海を好きなんだと呆れてしまう。
「もう言う気無い」
プイとそっぽを向いてやった。
「何だよ、聞かせろよ、なぁ〜!」
二の腕をつつかれてもプイ。
「俺だって言ってたじゃん、なぁ〜!…あ」
「聞こえてたの!?」
これはさすがに聞き逃せない。