となりの恋心-3
沈黙が2人を包み込む。
−−−なんでこんなダメ男が好きなんだろう。
美波は情けい気持ちをため息にして吐き出した。
当の本人……。
翔はベッドに座り、支度をする美波を見ていた。
髪を巻き、うっすらと化粧を施してキレイになっていく美波。
自分の知らない人になって行くような不安に駆られる。
『美波ちゃん………』
『今度は何よッ?!』
まつげにマスカラを塗りながら、イライラして答えた。
『好きだよ。』
『は…ぃ…ッ?!』
前触れの無い突然の告白に、持っていたマスカラが床に落ち、絨毯に黒い染みを作った。
真っ直ぐ見つめる翔の視線に、美波の胸が一際大きく高鳴ったその時……
『……だから…ッデートなんて、行かないでぇぇ〜〜ッ!!!』
翔の瞳が涙で大きく揺れた。
『何で翔ちゃんが泣くのよぉッ??!!』
泣きながら縋り付くように、背後から美波に抱きつく翔。
呆れたように、美波が翔の頭をポンッと叩く。
『……ちょっと、カッコ良かったのにな』
もぅ。
ため息交じりに呟く声には、愛しさが含まれている。
『大きくなったら、結婚してくれるんでしょ?』
『うんっ!!美波ちゃんの隣に僕以外の男が立つなんてやだ!!!』
……ぷッ。
嬉しさで思わず顔がほころんで吹き出した。
『翔ちゃん、好きよ』
−−−−−−そして2人が永遠の誓いを交わすのは、もう少し先のお話。