となりの恋心-2
いい加減待ち切れない美波が、翔の姉、泉に相談をした時、タイミングよく隣りクラスの男子からデートに誘われた。
これは利用出来る。
と思い、泉は美波にデートを受けた事にして、当日になってから翔に吹き込んだ。
すでに断っている事とは知らず、翔はショックで呆然としている。
横目で頼りない翔を見ながら、美波は器用に髪をコテで巻く。
『美波ちゃん。本当に行くの?』
『翔ちゃんには関係無いじゃない』
−−−行くな。
ってやっぱり言ってくれない。
美波は膨れた気持ちになった。
『み…美波ち…ゃん!』
『な、何よ。』
ドキン……ッ。
いつもは頼りない翔が、しっかりと目を見て来たので、美波の胸が期待で高鳴る。
『楽しんで…、お…いでね』
翔が悲しそうな顔で無理して笑った。
『翔ちゃんの馬鹿ッ!!!』
期待外れの言葉に悲しくなって、思わず叫んだ。
そんな顔で
《楽しんでおいで》
なんて言うくらいなら、
《行くな》
って言ってくれたら良いのに!!
『あ…ご、ごめん』
自分がなんで叱られたのかも分からずに、翔がしょんぼりして謝る。
美波は無言で乱暴に髪を巻き直した。