「ストロベリークリーム〜Coffee〜」-3
…カラン
「…あれ、お客さん?」
品の良い透き通った声に振り向くと、眼鏡をかけた優しそうな人が立っていた。
この人…愁!
予想してたのより…断然綺麗!!素敵!
私はさっき怒っていたことなど忘れてしまい、その場で飛び跳ねてしまいそうだった。
「…また何か言ったんじゃないだろうね、竜」
「俺ぁー何も言ってねぇよ」
愁は小さくため息を付いたあと、私ににっこりと笑いかけた。
「当店の従業員が大変失礼致しました。どうぞ、中へお入りください。」
「だから何も言ってねぇって」
「はいっ!!あの人はすっごく失礼だったけど全然気にしてないです!!!」
「そう言ってくれて良かった。いつもあいつのせいでお客さんが帰ってしまってね」
私は愁の表情の一つ一つに見とれながら、店の中に入った。
***
中に入ると、男の子がテーブルを拭いていた。
「あれぇ、めずらしーぃ。いっつも竜のところで脱落しちゃうのに」
これが…紺?!
小さいって身長の話だけじゃなかったんだ!
「あ、あの、中学生…小学生…?がこんなところで働いてて良いん…ですか?」
私の言葉に紺は可愛く笑った。
「やだなあ。僕はこれでも、高・校・生」
いや、そういう乙女チックな仕草が高校生じゃないって!
「こらこら、紺、お客様だぞ」
「はぁーい。失礼しました、お客様。メニューはこちらですぅ」
私はメニューを受け取り、テーブルに座ってから、放心してしまった。
ついに…言わなきゃいけないのね…
き、今日はやっぱりケーキでいいかな…
「あ…御注文お決まりのころにまた…」
「あ、いいの!き、決まってるから」
「え…?はい、お伺いします」
心臓がどっきどきしてる…もうどうにでもなれ!
私は杏子さんの言っていた合言葉を思い出す
--はじめに、こう言うの…-
「いっ『苺に、クリームいっぱいいっぱいのせて下さい』!」
言っちゃった…!