Kiss me please!-4
「わかったわ…」
「素直でいいねぇ♪」
「但し!」
「何だよ?」
「無理矢理しない事!期限は怪我が治るまで!一日一回!これが条件よ!」
「ケチくさー」
「あのねー!言う事聞くだけマシだと思ってほしいわ。それと…」
「まだ何かあんの?」
溜め息混じりに男が言う。
「名前を教えて。名前も知らない人とするのは嫌よ」
「そういうもん?まっ、いいけど。俺は田代琉。あんたは?」
「岡田望」
「んじゃ、望チャン、よろしくなっ」
望は差し出された手を渋々握った。
「んっ………」
治療費代わりのキスはあれから毎日続いていた。
最初の無理矢理とは打って変わって優しいキスをしてくれる琉に望はふと思う事があった。
琉ってカノジョいないのかな?
カノジョがいて毎日キスしてるのなら私は浮気相手になるのかなぁ?
治療費代わりなんだから浮気にならないのか。
いや、でもカノジョが知ったら怒るだろな…。
「望」
唇を離された事にも気付かず思考に耽っていた望はハッと目を開いた。
「何?俺とのキスにうっとりしちゃってんの?」
からかうような琉の声に頬を膨らませて反論する。
「違います!ちょっと…考え事してただけ」
「普通さー、男とキスしてる時に考え事なんてする?俺、傷ついちゃうなー」
そのキスの事で考えてるんじゃないの!
それに傷付くのはカノジョでしょ。
望は琉からプイと顔をそらした。
「望?」
怪訝な琉の声に
「今日の分はこれで終わりでしょ?帰るね」
琉は自分から離れようとする望の腕を取って引き寄せた。
「何?」
琉の腕の中にすっぽり収まった望は上目使いで聞く。