Kiss me please!-10
「な、何言ってんの!カノジョいてるんでしょ?!そんな事…」
「カノジョいるなんて言った覚えないけど?それに彼氏とならキス出来るんだろ?」
言葉に詰まった望の頬を両手で包む。
「俺、望が好きだよ。最初から。だからキスしたくてあんな事言った」
「嘘…」
「嘘じゃねーって。望は俺の事好き?」
「……好き」
「じゃあ、彼氏にする?」
「……する」
「ほんと気が強くて頑固もんだよなぁ。さっきの『キスして』は可愛かったのに」
赤く顔を染める望の、雨で張り付いた前髪をかき上げた。
「うるさいっ」
望は琉の首に両手を回すと、伸び上がって琉の唇を塞いだ。
「腕が治ってもキスしてくれるんだろ?」
笑う琉に望は笑顔で大きく頷いた。
後日。
「ねぇ、琉。最初から私の事好きって言ったよね?最初って私を助けてくれた時?」
「えっ!?あー、まーな」
しどろもどろに答える琉に怪しさを感じたのか望はじーっと琉を見つめる。
望の視線に耐え切れず目をそらす琉にさらに問いかける。
「最初っていつー?」
望には敵わない。
琉は正直に言った。
「望が元彼にフラレた時」
「えぇっ!?」
「俺、隣の席にいてさー。気の強い女だなって…。気になって後つけちゃった」
あははーと笑いながら言う琉をジトっと睨む望。
「フラレたとこ見たの?」
「うっ、うん、まぁ…」
「バカっ!琉の覗き魔!エッチ!」
ボカスカ琉を殴りながら怒る望を抱き寄せて頬にキスする。
「おかげで俺っていう彼氏が出来たじゃん」
うー、と唸りながら琉には敵わないなと、その頬にキスを返した。