恋愛武勇伝 第一章 : tomko編-3
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「どこか、行きたい所ありますか?」
「いや・・、どこといっては・・」
"誰も居ない・・二人だけの世界に浸りたい・・"
そんなこと、言えるわけがない。
そんな僕の気持ちを察してくれたのか、それとも君自身の気持ちがそうだったのか、
連れて行ってくれたのは、大学のキャンパスでした。
「私ね、ここに入りたいの。今の成績では、少し無理みたいなんだけど、入りたいの。
親にあまり負担をかけたくないから、私立には行きたくないの。」
杜の都と言われるだけあって、たくさんの樹木でした。月明かりの下、幻想的な世界
に、どっぷりと浸りました。
君はたくさんおしゃべりをしてくれました。僕と言えば、たゞ黙って聞き入っていたっけ。
「意外だわ・・。もっと、おしゃべりな人だと思ってた・・」
ドキリ!と、しました。メールでは雄弁な僕だけど、ホントは無口なんだ。いや、youさん
だからこそ、なんだ。
「感激してるから・・」
「まぁ!そんな嬉しくなるようなこと・・」
"to、tomko!・・"
抑え切れない衝動に、悩まされ続けていました。でも君は、そんな僕の気持ちにまるで
気付いてくれなかった。勇気の無さが、情けなかった。
「寒くない?」
「全然!寒いの?」
ホントは、すごく寒かった。心の中に、冷たい風が吹きまくってた。
tomkoに、暖めて欲しかったんだ・・ホントは。
tomko!
ぎこちない会話が、続きましたね。と言うよりは、僕が緊張していただけかな?
君はたくさん 話してくれましたね。
「ホントはね、もっとお洒落して来たかったんだけどね。制服なのょ、これ。通称
hakujo_kou のね。紐リボンだけは、外してきたの。」
「そ、そうなんだ。」
“ステキだょ、とっても!”
そんなひと言ぐらい、付け加えても良さそうなものなのに。喉がひりついて、どう
しても出なかった。
「風邪 惹いてるの?喉 痛いの?」
「心配かけて ごめん!緊張してるんだょ、実は。出掛けに、クラスメートに冷や
かされちゃって サ。」
「えぇぇっ!なんて、言ってたぁ?私のことぉ。」
「うん。美人だっ、て。羨ましがられた、ちょっとこずかれたりも したしサ。」
「うわぁ!やっぱり、お洒落してくれば良かったぁ。T君がさぁ 制服だからぁ、私
も制服にしたんだけどさぁ。」