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小説・二十歳の日記
【純愛 恋愛小説】

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小説・二十歳の日記-12

嫌がるチコと一緒に大掃除をしたよ。夕方近くに買い物に出かけて、
「弟さんと一緒の買い物?仲がいいのね。」だって。
「久しぶりに作るから、味の保証はないわよ。」って言うだけのことはあって、確かにおいしくはなかった。けど、楽しかった。

だんだん気が重くなってきてね、チコが心配してた。
”そんなに不味かった?”って。で、チコに話した。毎年、おふくろのお迎えで実家で新年を過ごしていること。悲しそうな顔をしてくれるかと思ったけど、そうでもなかった。ショック!

「今年は帰らない!もう、親離れする!」と、宣言した。嬉しそうな顔をしてくれたけど、すぐに
「やっぱり駄目ょ、帰りなさい。」
 
名残りおしかったけど、とりあえずアパートに戻った。今年は帰らない!って言うつもりで。道々、その理由を考えたけれど、なかなか妙案がでない。結局、先輩と一緒に初詣に行くということにした。
いざアパートの灯りを見たら、何だか部屋に行くのがおっくうになった。

「今年の正月は、帰れないかもしれない。今夜も戻れない。」と、書き置きしたんだ。
結局、そのままチコのアパートに行くことにした。おふくろに会ったら、絶対帰ることになるような気がしたんだ。おふくろの涙に弱いんだょ、僕は。

ところが、チコ居ないんだ。寒いし、足も疲れたしで、ドアの前にしゃみがみこんでた。後で考えれば、管理人さんに鍵をもらって、中で待っていれば良かったょ。従弟です、と紹介してくれていたから。
どの位待ったかなぁ、とにかく長く感じた。とにかく寒かった。僕のアパートに戻ろうかとも考えたけれど、おふくろに連れ戻されるだろうしさ。じっと我慢した。

今にして思えば、あの時に帰っていれば・・。今の僕じゃない筈だ。けど、あの時は、今離れたら、一生駄目になりそうに思えたんだ。

暗い顔をして歩いてくるチコを見たとき、ボロボロ涙がこぼれた。母親にはぐれて泣いている子供みたいに。母親が見つけてくれると、子供って、どうしてだかもっと泣き出すじゃないか。あの時の僕がそうだった。止まらないんだ、涙が。

チコも、
「ごめんね、ごめんね。」って、泣き出した。しっかりと抱いてくれるチコの胸で泣きじゃくったょ。
しゃくりながら、
「おふくろが来てるからアパートに戻れない」と言ったょ。
チコは、
「わかったわ。だからもう泣かないで。」そう言って、背中をさすってくれた。

あの時チコが泣いたことを、僕の涙につられてのものだとばかり思っていたけど、ホントは違っていた。勿論、多少はあるだろうけれど、引き金だったんだ。
あの長距離電話の時に気が付くべきだった。駄目な男だょ、ホント。

チコは、仕事をすっぽかしてしまったんだ。僕に会いたかったから?うん、少しはそれもあるかも・・・。本当の理由は、後でわかった。

でその夜、優しいチコの言葉に促されて、チコを抱いた。というより、抱いてもらった。暖かいチコの胸の中で、気持ちよく眠った。おふくろの胸で眠ったような感じだ。えっ?何もないよ。唯、眠っただけだよ、ほんとに。おっぱいには触ったけどね。

大晦日の夜、というより元旦の早朝だった、チコに男にしてもらったのは。益々、チコが好きになった。だけど、そのことが・・・
二日の朝だった。急にドアを激しく叩く音がして、チコの顔が強張った。隠れようとした僕に、
”そのままで”と目で言うと、チコはドアの外に出た。何だか異様な雰囲気だった。


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