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【初恋 恋愛小説】

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十四

「リコちゃん!!」
息を切らせて駆けてきたのは、サヤカちゃんと市川君だった。
あれ?涼子ちゃんは?
「リコちゃん、えっと、私聞いたの市川に…」
サヤカちゃん、顔が真っ赤だ。
あっ市川君、告白したんだ…
私、市川君をチラッとみた。
市川君照れ笑いしてる。
「でね、リコちゃん、リコちゃんは…」
サヤカちゃん、うつむいた。
サヤカちゃん?……もしかして、私が市川君を好きだってまだ思ってる?…言おう、ここで、翔ちゃんに告白しよう。…振られるのは分かってる…でも…
「あっ北原君?」
その時、知らない女の人が翔ちゃんに駆け寄ってきた。
「え、マジやばい、北原君とこんな所で会えるなんて」
「あんた誰?」
「私、六組の香山奈々、入学したときからずっと北原君が好きだったの、つき合って」
香山さん笑顔で言う。
「バカじゃねーの」
ドクンッー
翔ちゃんの言葉で私の決意は揺らぐ…
香山さんは翔ちゃんの言葉にひるむことなく言った。
「分かってる、佐伯さんとつき合ってるんでしょ?大丈夫、黙っとくから、私いいよ二股で」
「は?てか、俺お前の事知らないし、やだよ」
「そんなのつき合って知ればいいよ」
香山さん、翔ちゃんの腕を掴む。
「さわんなっっ!!つき合わねーよバカ!!」
翔ちゃん、香山さんの手をはねのけた。私、香山さんに自分の姿が重なり目を伏せ、サヤカちゃんの浴衣の袖を握った。
ドドンッ!!
その時、大きな音が響き、振動がお腹の底まで振るわした。花火が始まったのだ。
「バカみたいもういいよ」
香山さん、払われた手を引きながら言い、背を向けて行ってしまった。
私もあんな風に言われるんだ…あんな風に振られるんだ…
「あの人知ってる、彼女がいる人ばかり狙ってるって聞いたことがある」
香山さんが去った後そう言ったのは、サヤカちゃんだった。
…ううん…振られるのは分かってる事なんだから、怖がっててもしょうがない…言わなきゃ…
サヤカちゃんの浴衣の袖を更に強く握る私の目から涙がこぼれてた…
「リコちゃん!?」
私の涙を見て驚いたサヤカちゃんが言った。
頑張れ私…
「…翔ちゃ……」
…呼んじゃだめだった…
私、一度首を振り言い直す。
「きっ北原君…私、…私、北原君が好き…」
「え?リコちゃん?」
私の言葉を聞いてサヤカちゃんは困惑してる。
私はうつむいたまま翔ちゃんの言葉を待った。
「あ…ああ」
翔ちゃん、そう言ったきり押し黙ってしまった。
きっと私を振る言葉を考えているんだろう。


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