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【初恋 恋愛小説】

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十二

サヤカちゃん、どうしよう…市川君!!市川君に言わなきゃ!!
私、間違ってたのかな?サヤカちゃんと市川君が早くつき合えばいいと、サヤカちゃんが幸せになればいいと、願ってたはずなのに…私は、サヤカちゃんを傷つけた……
市川君…
私、市川君が入っていった店に駆け込み、市川君のもとへ走った。
「どうしよう、市川君、サヤカちゃんが、私上手く言えなくて…」
「え?どうしたの?とりあえず外出よ」
市川君、私を促す。
「なんかあった?」
「サヤカちゃんが、私が市川君の事好きなんでしょって…」
私、サヤカちゃんが言った事を伝えた。
「…そか…」
市川君、話を聞き終えると考え込んでしまった。
「ごめんなさい、私…」
「いや、悪いの俺だし、こんな小細工して…卑怯なやり方して、小西さんに迷惑かけて…俺、決めた。花火大会の日に告白する」
市川君の目、真剣だった。
「市川君…」
「ごめんね迷惑かけて」
「そんな…」
申し訳なさそうにする市川君、私、どうしてもっと上手く出来ないんだろう…
「それから、今日思った事があったんだ」
「え?なに?」
「小西さん、無理してない?」
「無理?」
首をかしげる私に市川君、言った。
「‘翔ちゃん’の事、無理してあきらめようとしてない?」
……翔ちゃん…
そんな事ない。あきらめるって決めたんだもん。
「好きでいていいと思うよ。たとえば時田に彼氏がいたとしても俺同じ行動とったと思う」
好きでいて…いい…
決心が揺らぐ、あきらめると心に誓ったのに…
「松田には俺から上手く言っとくから」
「…うん…」
私、小さくうなずいた。
市川君はたった一言で私の頭を翔ちゃんでいっぱいにした。
…ううん…違う…違う、私全然あきらめてなんかない。
私、気づいた。あきらめる、って考えないようにする、って思ってる間はずっと翔ちゃんの事を考えてる。
ばかだなー…私…何も上手くいかない…何から考えよう…
家に着いた私、とりあえずサヤカちゃんに電話した。
…出ない…
メールした。
『今日の事は誤解だよ。市川君と会ったのは本当で、その事サヤカちゃんに黙っててごめんなさい。だけど、市川君を好きって言うのは違うから、お願い信じて』
ー送信
だけど、サヤカちゃんからの返事はなかった。
次の日、私、バス停でサヤカちゃんを待ってた。
なんて言ったらいいんだろう?何を言っても上手く伝わらないような気がする…思い切ってサヤカちゃんに言おう。翔ちゃんの事…
「リコちゃん、おはよう」
え!?
「えっあっ、お、おはよう」
いつの間にかサヤカちゃん横に立ってた。
「リコちゃん、何やってんの?行くよ」
え?さ、サヤカちゃん??
歩きだしたサヤカちゃんに駆け寄った。
「さ、サヤカちゃん、昨日…」
その瞬間サヤカちゃんの足が止まった。
「やめよう、その話…」
サヤカちゃんの低い声が響いた。その後サヤカちゃんは笑顔で振り返り言った。
「いや、よく考えたら私が怒る必要ないんだよね、ごめん」
「サヤカちゃん…」
「だって、あの合コンはリコちゃんに彼氏作るために開いたんだし、うん、ね、だからこの話は終わり」
サヤカちゃんっっ
私、何も言えないまま…サヤカちゃんの横を歩いた。
…何も出来ない自分がいやになる……


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