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「ボクとアニキの家庭の事情」
【同性愛♂ 官能小説】

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「僕とアニキの家庭の事情・5」-9

「コーラでええやろ?」
「んー、アリガト」
植本家、馨の部屋。
コタツに潜り込みながら部屋を見回してみる。
勿論、何度か来ているけど、その度に意外とキレイな事に驚く。
物が無い故のキレイさじゃなく、ちゃんと整理整頓されているキレイさ。
逆に円の部屋は、物が無いのに汚いんだケド・・・・。
「ねーねー馨ー?」
「ん?」
朝のだーやんとの話とかも含め、今日あったいろんなくだらない事を話した後、ボクは聞きたかった事を聞いてみる事にした。
「昨日、円と逢った?」

―間。

(ああ、やっぱなんかあったんだ―)
「何で?」
微妙な顔を浮かべながら馨が聞いて来る。
「ちょっとねー。」
「まー(円のコト)、なんかゆーてたん?」
微妙な顔のまま(これでも多分極力表情に出さないようにしてるつもりなんだろう)聞いてくるポチ君。
「んー・・・・。」
ここでふと考えてみる。
今日あった事をそのまんま伝えるのは簡単だケド、それじゃちゃんとした事が聞けるとは限らない。
馨に嘘をつけるだけの脳ミソはないのは判ってるケド、万に一つって事も・・・・・。
そう考えたボクは、少しだけ脚色してみる事にした。

「イライラしてたネ、なんか」
「・・イライラ?」
「うん」
取り敢えず嘘はついてない。
イライラしてたのは割とボクのせいだし、馨の事については特になんにも言ってなかった訳だケド・・・・・。
「なんかあった?」
思考を巡らせている馨に、すかさず聞いてみる。
「んー・・・何やろ、ちょっとまぁ・・・」
珍しく歯切れが悪いケド、取り敢えず黙って聞いてみる。
「昨日、怒らせたっちゅーか・・」
「へ?」
怒る?円が?
「んー・・言わんでええ事ゆーてもーてん」
―あぁ、なるほどね。
何となく想像が付いた気がする。

「まぁ、それについてはボク、あんまし良く知らないからネー」
(ズルい言い方だな。)
ボクは我ながら狡猾な自分の発言に苦笑しながら、意識を馨の方へと戻す。
「せやな・・。」

少しの間の沈黙。

「お前、知らんもんな」
「え?」

―ドクン

何だろう。

今の、馨の顔。

「馨?」
「んあ、ナニ?」

―いつも通りの馨の顔。

「・・・・・」
「な、なんやねん、ヒトの顔じーっと見て」
無言で自分の顔をひたすら見つめられるのに抵抗があるのか、軽くうろたえる馨クン。
取り敢えずそんな馨に向かってボクは―
「ヘンタイ」
「はうっ!?」
思いもよらない言葉だったのか、どっから声を出したんだか判らないような声で顔を歪ませる。
カワイイなぁ(笑)

まぁ・・・確かに基本的にボクは、あまりヒトと関わろうとしない。
ヒトの『中』に入るコト自体はそれほど難しいと思ったコトはないケド、それはヘタな大人よりも『視なくても良いモノ』を視て来たからなんだろうか?
そんな能力だかテクニックだかを、利用なんかしたくはないから。


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