「僕とアニキの家庭の事情・5」-13
―――うわ、アニキの口ん中、熱っ
「ふっ・・・ん、むぅ・・」
「んっ・・・・・ちゃんと飲んだ?アニキ」
「んー・・・・もっと」
「ったく・・・」
「んくっ・・・んぐ・・」
「んっ・・!」
いきなりアニキが舌を絡ませて来る。
「ん・・・」
そしてそれに応えてしまうボク。
「んむ・・んっ」
・・・。ナニやってんだボクらは。
「んうっ・・!」
このままズルズル行きそうだったんで、取り敢えずアニキを引き剥がす。
・・・。
半開きになったアニキの口唇から真っ赤な舌が覗いていて、透明な糸を引いている。
「・・・・。」
ダメだダメだ。
「ほらっ、取り敢えずシャワー浴びて服着替えて!」
「んー・・・・・」
扇情的な光景に対して浮かんだ欲情をごまかすように、肩を叩いて動きを促す。
「シャワー・・・・浴びる・・・・」
「うん。だから取り敢えず動いて」
「ふぁーい・・・」
まったく・・・・。
ほとんど聞き分けのない幼稚園児を相手にするみたいに、バスルームまで手を引っ張っていく。
「着いたよ」
「んー・・・」
・・・・。眼閉じてるけど、寝てないよな?
「取り敢えず、服は脱げるよね?」
「ん・・」
「後でボクも入るから、先に脱いで中入っといて」
「んー・・・・」
ホントに判ってるんだろうか・・・?
一抹の不安を抱えつつ、取り敢えず脱衣所にアニキを置いて、エラい事になってる玄関付近を掃除しに行く。
「さて、と」
取り敢えずトイレから持ってきた紙を撒いていく。
「んー・・・・ってか、ワイン?」
ふと気付いた。
普段そんなに酔っ払う事もないアニキが、泥酔とまで言ってイイくらいに酔っ払っている。
しかも、泥酔の結果ブチ撒かれた物体は、どう見ても赤ワイン。
「・・・。うちに赤ワインなんかあったっけか?」
当然ボクはお酒なんか飲まない、っていうか飲めないんですが・・・。
確か、前にアニキが赤ワインを飲んだんだか飲まされたんだかして、スゴい酔っ払って大変だったって聞いた気がする。
・・・。
「あれ?誰だっけ?」
―まぁイイや。
少し疑問に思いつつも、床にブチ撒けられた物体を拭き取り終えた。
「・・。つか、完全に液体だったケド、何にも食べずにずっと飲んでたって事かな?」
・・・・。
お酒を飲まないボクには判りませんが。
「・・取り敢えずアニキ・・・」
「・・・なにやってんの」
脱衣所に脱ぎ捨ててあったシャツをそのまま洗濯機に放り込んで様子見がてらに風呂場に入ると、アニキはズボンを履いたまま浴槽にもたれこんでいた。
「んー・・・」
・・・。