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絶交チョコミント
【青春 恋愛小説】

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涙目テディベア-6

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「よし……よし!今だ!」

クレーンが下がる。
アームが閉じる。

「神様お願い!」

クレーンが上がり………………何も引っ掛かっていなかった。

「あぁ………また失敗……」

そう呟いて落胆する水澄を横目で見つつ、俺は内心呆れていた。

(ダメだコイツ、絶望的なまでにクレーンゲームに向いてねぇ……)

そりゃそうだ。
欲しいやつの真上に来た時にボタンを離したんじゃあ、どうやっても通り過ぎてしまう。
加えて、どうもこの機体設定はアームの力が弱いようだ。こんなんじゃ、たとえ掴めても持ってくる間に落ちるだろう。

(まぁ多分そんな事、水澄は分かっちゃいないんだろうが……)

三回目の失敗の後、俺は水澄のヘタさに気付き、俺が取ってみる事を申し出たのだが……。

『あの子が私に送ったメッセージなんだから、私が助けてあげなきゃ!』

……と、一蹴された。
そんなワケで、おとなしく横から見ていたのだ。

――で、先程の六回目の失敗である。

「うー、何で取れないのよぉ……」
「だからよ、これは掴むんじゃなくてどっかに引っ掛けるんだって」
「それが出来ないんじゃない……」

何度も失敗してさすがにヘコんできたらしい。
力無い声で言い返してくる。

いつもの軽口はどこへやらだ。んー、なんか調子狂うなぁ……。
かといって、手伝うと言ってもプライドの高い水澄の事だ。意地を張って断られるのは目に見えてる。

次で八回目なんだし、そこまで来たら買った方が安くつくだろう……なんてのは、空気の読めない奴の言うセリフだ。
『自分で取った』ってトコに価値があるのがクレーンゲームの醍醐味なのだから。

(何とかして取らせてやりたいけど……。さて、どうしたもんかね)

……と、小さな事だけど割と真剣に悩み始めた俺に、

「………ねぇ、吾妻」

水澄が声をかけてきた。

「どした?」
「……私、なんかクレーンゲームが苦手みたい」

……おぉ、一応自覚はしてたのか水澄よ。
もちろんそんな事、声には出さないが。

「アームが弱いのもあるな。チェーンにでも引っ掛けないと取れねーよ」
「うん、やってみてはいるんだけど……なかなか上手くいかないわ」
「そんなときもあるわな」

とりあえず、そんな無難な事しか言えない自分が情けない。ちょい自己嫌悪。


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