涙目テディベア-4
「うわぉ。広いね」
「確かに。んー、見た感じプライズゲームが多いな」
「プライズ?」
「UFOキャッチャーみたいな、景品を取るタイプのゲームだよ。あんまりやらねーけど」
確かに、店の半分くらいはそういう系のゲームで占められている。
「やっぱり、よく取れる台とかあるのかな?」
「パチンコじゃあるまいし……。まぁ、あるにはあるらしいけど」
「そうなの?」
「クレーンのアームの強さとか、賞品の置き方とかな。うまい店だと、取れそうで取れない強さと配置になってんだよ」
「へー……」
全部同じだと思ってた。
「後でやろっかな…………………あっ!」
「ん?どした、何か見つけた?」
「アレやりましょ!太鼓のやつ!私超得意なのよ!」
「あぁ、あれなら俺も出来るわ。何回もやった事あるし」
入り口付近に立つ、見慣れた太鼓型のゲームへ。
「んじゃ、勝負ねー」
「うし、いいだろ。かかってこい!」
――数分後。
「はー、せっかく勝ったし何か賭けとけばよかった。アイスとか」
「まだ食べるのか……」
「や、もうすぐ3時だし」
勝負の結果は、ギリギリ私の勝ち。
吾妻もなかなか上手かったが、まぁその辺は経験の差ってやつである。
「ま、今日はアイスも奢ってもらったし。特別に罰ゲームは免除してあげる」
「そりゃ助かるわ」
「そのかわり、次は容赦しないからね?さ、せっかく来たんだし色々見に行こ!」
時間は有限である。
結構広い店だし、掘り出し物もあるかもしれない。
――そんな事を考える水澄の後ろで。
「………『次』、か」
吾妻 創史は、小さく呟く。
「……次もあるって期待して、いいんかね?」
「……ん?何ぼーっとしてんのよ吾妻。置いてくよー」
「あぁ、悪い。今行くよ」