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絶交チョコミント
【青春 恋愛小説】

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涙目テディベア-2

▼▼


「美味しかったねぇ」


……店を出て一発目の私のセリフである。
いや、でもあの感動はホントにその一言に尽きる。


「あぁ。まぁ、やっぱあのサイズで三百円近くすんのはちょっち高いけどな」
「何を言う。たかだか数百円であれだけの幸せを味わえるのよ!?つまり、私達は幸せに投資したのよ」
「さいですか……。まぁ今日は投資したのは全額俺の財布からなんだけどな」


吾妻は先日、私と文化祭の買い出しに出かけた際に、とある罪を犯した。
私が食べる予定だったアイス(チョコミント味)を売切れに追いやったのだ。
当然、私は食べられなかった(まぁ代わりに別のアイスを食べたのだが、怒りは収まらなかった)。

昔の人はこう言った。
目には目を、歯には歯を、チョコミントにはチョコミントを、と。


言ってないかもしれない。


まぁ、そういうワケで。

「だって、そういう約束だったじゃないの」
「そうだけど」
「なら文句言いっこ無し!いいじゃない、美味しかったんだから」
「ま、それは確かに」

手を繋ぐでもなく、ぶつからない程度の近さに並んでぶらぶら歩く。

歩き慣れたアーケードでも、一緒に行動する人が初めての人だとなんだか新鮮な感じだ。

「……ん?どうした水澄、ぼーっとして」
「え?あぁいや、なんか新鮮だなー、って思って」
「新鮮?」
「いやほら、吾妻とどっか出掛けるのなんて初めてじゃん?なんか変な感じだなぁ、と」
「変ってお前……失礼な」

呆れ顔で呟く吾妻。

……あ、ちょっと言葉が足りなかったかもしれない。
慌てて弁解。

「あ、別に嫌な意味じゃなくて。私遊びに行くときはいつも女子だけで行ってたから、男子と出掛けるのが珍しいワケよ」
「……ん?水澄、もしかして男子と二人で出掛けるの……初めて?」

そんな事を聞いてきた。
……ひょっとして、馬鹿にされているのだろうか?

どうせニヤニヤしているんだろうと思い、このままだと悔しいので何か言い返してやろうと振り返ると……予想に反して、吾妻はキョトンとしていた。


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