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細糸のような愛よりも
【同性愛♂ 官能小説】

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細糸のような愛よりも-6

「お前ってさ、素直でいい奴だよな」
言われて俺は眉を顰めた。
「部室に忘れものをしたって言ったら、絶対ついて来てくれると思ったよ」
そして、次の瞬間、俺は自分の目を疑った。
「綿貫……?」
パニックになっている俺の頭を引っ掴み、綿貫は俺に顔を近付ける。
切れ長の瞳が俺をじっと見据えていた。
にやりと口元を歪め、奴は言う。
「俺は綺麗なモンが好きなんだ」
ぞっとするような、低い声。
「何であってもな。セックスだって同じだよ」
そこでようやく。
ようやく、俺は事態が飲み込めたような気がした。
理解するのと同時に、俺の唇が綿貫の乾いた唇で塞がれる。
毛利とは全然違ったその感触。
しかし不思議と嫌ではなく――それが逆に、自身への嫌悪感を抱かせる。
「や……めろ」
必死に首を捻り、綿貫の唇から逃れ、声を絞り出す。
しかし、無駄だった。
強い力でロッカーに押し付けられて、再び唇が塞がれた。
噛み付くように唇を食んだ後、綿貫はゆっくりと顔を離す。
その両手は俺の両手首を掴み、ロッカーに押し付けたままで。
「本当に、離せ、離せよ。俺は……こういうのは」
「趣味じゃない?」
くく、と喉の奥で笑う綿貫。
「言ったろ? 俺は綺麗なモンが好きなんだよ」
そして、俺の耳元に口を寄せ、囁くように言う。
「綺麗なのとヤリたいわけ。だから、性別なんて関係ない」
「嫌だ……」
俺は首を横に振ると同時に、震える声で言った。
綿貫に言うのと同時に、自分に言い聞かせるように。
自分はまともな人間なんだと。
そうだ、毛利って名前の可愛い彼女だっている。
それでも。
「う……」
綿貫が俺の耳朶を食む。
たちまち、痺れるほどの快感が背中に走る。
こんな自分が、気持ち悪かった。
「ゾクゾクするだろ?」
不思議なことにその綿貫の声に、痺れるような感覚を覚えてしまったこと。
本当は、この男の行為に何かを期待していたこと。
頭に浮かぶ毛利の笑みは、綿貫の行為に打ち消されてしまった。


「う、あ……あッ」
シャツの前を開け、肌蹴た俺の胸を綿貫の長い舌が這う。
混じる吐息が妙な感覚を俺に与えた。
「嫌だ……」
「嫌じゃねえだろ」
笑うように言う綿貫は、俺の股間を撫でた。
「感じてるんだろ? 素直になれよ」
既に俺のそこは硬さを持っていて。
しかも、綿貫に触られたその瞬間、再び快感が背中に走った。
綿貫はベルトを外し、制服を脱がせる。
「泣き顔も、いいね」
綿貫がベルトを外しながら、俺の頬を舐めた。
奴がベルトを外している間、俺は抵抗すればよかったんだ。
押さえられていた両手は解放されていた。
なのに、何故俺はこいつを突き飛ばさなかったんだろう。
何故俺は――こいつに期待しているのだろう。
「んッ、ふ……」
舌を絡めれば、綿貫は俺の頭を掻き抱き、激しく舌を吸ってくる。
気持ち悪いなんて全く感じなかった。
「わた……ぬき」
唇を離し、綿貫は俺のボクサーパンツを下ろした。
下半身の涼しさに、俺は一線を越えてしまうような気がして、途端に怖くなる。


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