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細糸のような愛よりも
【同性愛♂ 官能小説】

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細糸のような愛よりも-14

綿貫の右手は俺の左手首をがっちりと掴み、左手は俺のものを軽く扱いていた。
俺はというと、綿貫の左手から与えられる快感がどうしようもなく気持ちよくて、キスの合間に呻くような喘ぎを漏らした。
そして自由になっている右手を綿貫の頭に回し、くしゃりと髪を掻きあげる。
『素直になった』
にやりと綿貫は笑い、俺の身体を一旦解放する。
そして奴は、俺を見下ろしながら、半透明のボトルを手に取った。
ボトルの中身はローションだ。
綿貫が受け皿にした左手から、ローションは糸になって俺の腹に落ちる。
『いい眺めだよ、絹川』
綿貫が手のひらで俺の腹を撫でた。
びくりと跳ねる俺の身体を弄ぶ。
ローションに塗れた手が、徐々に俺の後ろの方へと移動する。
『止め……綿貫……ッ!』
そんな言葉での抵抗など、ないに等しい。
『あ……いッ……!!』
中指でゆっくりとマッサージされたかと思うと、不意にその指が侵入してきた。
強張る俺の肩とそこを、入念に撫でて行く綿貫の吐息が、俺の身体をくすぐる。
『入った』
いちいち俺の顔をうかがうように、そう言って俺を見やる。
返事などできないことを分っているくせに。
『ん……ッ、う……』
俺の中へと入って行くその指が、俺の中でくっと折れる。
『ん、ああッ!!』
思わず声を上げると、綿貫の口元がつり上がった。
そして再び進入を開始する指。
『ああッ! ……はあッ、ちょ……ッ、そこぉ……ッ!』
快感が全身に駆け巡り、俺は軽くイッたような感覚を覚えた。
どこでこんなことを覚えたのだろう。
確実に俺を気持ちよくさせてくれる綿貫。俺は、奴のなすがままだった。
目尻に涙を浮かべて息を荒げる俺に、綿貫は低い声でもって、囁くように言った。
『壊れてくれよ――』


「あッ、ああ――!!」
「う……ッ」
俺は彼女の腰をがくがくと揺らしながら快感を貪り、そして果てた。
彼女が達したのかは分からない。
そんなことを考える余裕もなかった。
俺は汚れたゴムを捨てて、荒く息を吐く。
どっと押し寄せる疲労感。そして、後ろめたさ。
――何てことだろう。
(彼女を抱いている時も、綿貫に犯される想像でイっちまうなんて――)
俺は、頬に涙の跡を残した彼女の傍らに突っ伏し、溜息をついた。
うつ伏せになったまま、ふと窓の外を見やる。
星ひとつ見えない真っ暗な空は、どんよりと濁っているような気がした。


「……もう愛してないんだよね」
朝になり、開口一番、毛利は呟くように言った。
起き抜けの俺と違い、彼女はもう既に身支度を終えていた。
「あたしのこと、もう愛してないんだよね?」
俺の方には顔を向けず、毛利は確かめるように言う。
「そんなこと、ない」
俺は掠れた声で答える。
だが、俺自身の中で疑問が生まれていた。
俺は本当に彼女のことを愛しているのだろうか?
毛利のことは嫌いではない。
けれど、愛しているかと問われたなら――
「あたしは、いつだって愛されたい!」
そう言って俺の方を向いて声を上げた彼女の顔は、涙に塗れていた。
「もっと愛して欲しいよ!」
俺の胸を叩きながら、毛利は嗚咽する。
「もっと、愛して欲しいよ……!」
「……ごめん」
それしか言えない自分が情けなくて。


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