ラブシック-2
「何だよ、熱無えじゃねぇかよ。この仮病!」
…ふっ。
あんたバカだね、本当に。あんたの手が早く治れって言ってんじゃん。
仮病だって思うならその手退かしなよ。頭なんて撫でてないで。
心配してんのめちゃめちゃ伝わってくるんですけど。
「分かった」
アタシはあんたの心に向かって返事をした。
「あ?」
呆れたような短い声が降ってくる。でもあんたはアタシの髪を撫でてくれてる。
…もうボロクソ言わないよ。
「何言ってんの?お前、いろん意味でやべぇよ」
うん、やばいよ。アタシ相当やばいよ。
「まじ何かビョーキなんじゃねぇの」
本当は知ってるよ。
あんたが汗掻いてまで窓も開けずに涼しくならないようにしてるってこと。
あのさ、一個言っていい?
「病気だよ、そういうあんた大好きなんだから」
アタシは目を閉じた。
あんたの「ゆっくり寝てな」っていう優しい声を聞きながら。
【end.】