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「深夜の病室」
【制服 官能小説】

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「瓦解する砦」-9

「さぁ、下駄を履いてください」

九木が舞の前に一揃いの下駄を出す。

「そんな恨みがましい目で見ないでくださいよ」

思わず顔に出ていたのだろう。舞の表情に九木は苦笑をする。

「もう、殆どのお客様は楼内で休んでおられますから、この時間なら返って誰かに見つかることはありませんよ」

九木は舞の頭をポンポンと撫でる。

「それにしても、舞さんは運がよい。これくらいで済んだことに感謝をした方がいいですよ」

他人の尿をかけられ、裸で街中を引き回されることのどこが運が良いというのだろうか。

「さ、行きましょう」

こうして舞と九木は裏口から出発をした。

サァッと夜風が肌を撫でる。
満月が肌に明るい。

「綺麗な月ですねぇ。満月に人が狂うというのも分かる気がします」

月を見上げた九木の目が細められた。

「九…木…さん、早く」

羞恥を身に帯びた舞は、それどころではない。一刻も早くノルマを終わらせたいと九木を急かす。

「はいはい。舞さんは、私の前だといつもドモリますねぇ」

おかしそうに笑いながら九木は舞の首輪から延びるロープを引いた。
しばらく無言で夜の街を闊歩する。

誰かに遭うのではないかという怯え、外気の冷たさが舞の皮膚の内側を刺激する。

ツゥーッと蜜が太股に垂れた。

恥ずかしいのに、イヤでイヤでたまらないのに、どうして自分の躯は濡れてしまうのだろう。

舞の心は暗く沈んでいく。

「寒いですか?乳首立ってますよ?」

そんな、舞の気持ちを知ってか知らずか九木が羞恥心の欠片もない言葉をかける。

「い、いえっ」

途端にカァッと火照りを増す躯。

「ならいいですけど。もうすぐ楼に着きますよ」

どこをどう通ったのか、いつの間にか辺りは見慣れた光景に戻っていた。
誰にも見咎められなかったという安堵で舞は小さなため息をつく。

「さぁ、また執務室に向かいましょうか」

二人は楼の最奥へと再び歩みを進めた。


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