愚かに捧げる3-2
「そう・・・」
それっきり、敏樹は何も言わなかった。
真理子はイキたいのに途中で止められてしまうもどかしさに少し腰をくねらせる。
電車の中でなければ自分で慰めてしまいそうだ。真理子は一昨日自分を昇天させてくれ
た手が恋しかった。そして、痴漢を恋しがる自分を恥じるのだった。
その日の夜。真理子はベッドの上で胸を揉みしだいていた。
(学校のトイレでもしちゃったのに・・・私、おかしくなってる・・・)
ブラをずらして胸を直接触ってみる。・・・気持ちいい。乳首を触る度に体が跳ねる。
更なる刺激を求めてパンティの中に指を入れた瞬間、携帯が振動した。マナーモードの
ままになっていたらしい。
(携帯・・・バイブみたい)
電話の相手は敏樹だった。だが真理子は通話ボタンを押さずに下着の上から携帯を押し
付けた。
「ふぅぅん!」
思わず声が漏れる。敏感な突起に携帯を当て、指を自身の中に入れる。
(もうちょっと・・・もうちょっとなの。ごめん、トシ・・・)
プツッと振動が切れ、代わりに留守番電話のメッセージが流れる。耐え切れず、真理子
は携帯をベッドに放って空いた手で突起を擦り続けた。
(手が、手が止まらないよ・・・)
「あっ」
瞬間、頭が真っ白になった。中から粘着質な液が湧き出る。
(イッちゃった・・・)
気持ちよさが通りすぎると罪悪感でいっぱいになる。真理子はティッシュで手と股間を
ぬぐうと携帯を拾った。メッセージが一件。確認するまでもない、敏樹だ。
真理子はメッセージを再生した。
「マリ・・・?色々考えたんだけど、俺たち、別れた方がいいと思う。一方的でごめん
。じゃあ」
瞬間、真理子はメッセージの意味が分からなかった。もう一度聞き返して自分の口で別
れる、と呟く。さっきまでの快感が嘘のように引いていった。
敏樹と同じ大学に行くために遅くまで勉強頑張ってるのに。敏樹と一緒にいる時間を大
切にしたいから痴漢にあっても声を上げないで頑張ったのに。敏樹にも付き合いがある
のは分かるから夜遅くにならないと電話できないのも我慢してるのに。私はこんなに頑
張ってるのに。私はこんなに、こんなに頑張ってるのに、別れる!?酷すぎない!?
真理子は着信履歴からそのまま、敏樹に向けてリダイヤルを押した。