プリズム-5
とうとうその日が来てしまった。エリカが琢也の部屋に遊びに来るというのだ。
エリカとはあれ以来なにもない。別れ際に交わすキスが友達以上であることを唯一思い出させてくれる。琢也はそれで充分幸せだった。
毎日授業が終るのが待ち遠しい。エリカと二人で肩を並べて歩く。同級生が周りにいなければエリカは必ず琢也の手を握って歩いた。天気が良
ければデパートのオープンテラスや公園のベンチ、悪ければマックや喫茶店へ向かった。
エリカは表情をクルクルと変え、細く真っ白な手でデスチャーを交えてよく話す。琢也はエリカの話に相槌を打ちながら優しい眼差しでエリカ
を見つめる。エリカのクルクルと変わる表情は、一つ一つがグラビアのワンシーンのように美しい。肩のラインが本当に綺麗で真っ白な胸元が
着るものを際立たせる。そして、笑顔が一瞬途絶え大きな眼が琢也を見つめる。その瞬間、琢也は息が止まる思いがした。
琢也はそれで充分だと思っていた。もちろんエリカを抱きしめたい。自分のものにしたいと思わないわけではない。でも前回のようなことがあ
ると、琢也は本当に苦しい思いに駆られる。エリカには他に彼がいて琢也と付き合っているわけではない。あのようなことがあっても琢也は何
もすることができないのだ。エリカの一方的な奉仕に身をゆだねると、琢也は自分の立場を思い知らされる。そして本当に怖いのは、自分の欲
望を止められなくなることだった。
ドアを開けるとエリカが胸元に飛び込んできた。
琢也は驚いたが、抱きとめたエリカをそのまま横抱きにして部屋へ案内した。
エリカはタンクトップにチェックのミニスカートを穿いていた。
あらわになった真っ白な肩と胸元が琢也の目に飛び込んでくる。
部屋に入るとエリカを後ろから抱きしめた。
「エリカ好きだ。好きだよ。愛してる。」
琢也は自然と出てきた自分の言葉に少し驚いた。
「琢也。嬉しいよ。」
エリカが手を後ろへ回し、琢也の股間をまさぐる。
「エリカ、あの、話があるんだ。」
エリカの手が琢也の勃起したペ○スを掴んだまま止まる。
「この間のことなんだけど。」
「いやだった?」
「そんなことない。エリカがしてくれたことは嬉しかったし、凄く感じてよかった。ただ僕ばかり気持ちよくしてもらって心苦しいんだ。」
「エリカが好きで、エリカを幸せにしたい、エリカを守りたい、エリカを気持ちよくしたいと思ってる。でも彼のいるエリカに僕はどうすれば
いいのか分からないんだ。」
「琢也。そんなにエリカのことを思ってくれてたんだ。」
エリカは振り向くと、琢也の首に両手を回してキスをした。
「琢也、セックスできないのはエリカの都合。だったら、琢也はエリカを縛って思いを遂げればいいよ。琢也にならどんなことをされてもい
い。たとえ陵辱されてもエリカは琢也のことが好き。」
「エリカ。そんなことできないよ!」
「よいのよ。その代わりエリカを縛って完全に自由を奪って欲しいの。ピルを飲んで
るから妊娠のことも心配しなくていいよ。」
言い終わるとエリカは琢也に激しく舌を絡めた。