他愛ないお話-3
「あっ…相田先生っ!!??」
「若いなぁ。それとそのプリントの最後の問題はやらなくてもいいそうだ。どうやらどうやっても答えがあわないらしくてな」
「この一問に費やした時間とこの恥ずかしさをどうするつもりですか?」
相田は笑った。こっちは泣きたいっつーの。
「学校でいちゃこくほうが悪い」
正論ですね。
相田はプリントをサッと取った。
「今日の補習は終わりだ。あと、今校舎にはお前らしかいないから、好きにしていいぞ」
豪快に笑いながら、相田はいなくなった。
好きにしていいって、教師の台詞じゃねぇな。
「どうする?好きにしちゃうか?」
腰に手を回しながら言った。
「………」
彼女は喋らない。いや、恥ずかし過ぎて喋れないのか。
「帰るか」
彼女を降ろし、カバンを掴んだ。
「う…ん」
なんとも残念そうな彼女。時折見せる女らしさがオレを魅了しているのを、こいつは知らない。
ガチで惚れてるなんて、絶対知られたくないしな。
オレは手を差し出した。
「行くぞ。続きは…オレん家でな?」
「…わかった」
ギュッと手を握り、教室のドアを開けた。
振り返り教室を見た。明日も補習、明後日も補習。
彼女も、明日も練習、明後日も練習。
なんか近いうちに教室でヤれそうだななんて、しょうもないことを考えた。
終わり