陽だまりの詩 epilogue-4
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午前の競技が終わり、昼食の時間になる。
俺は美菜を園児席まで迎えに行っていた。
「あっ、パパ!」
美菜はとてとてと俺のほうへ駆け寄り、足に抱きついた。
「美菜、お疲れ様」
「パパもお疲れ様!ねえ!見てた見てた?」
美菜は首にかけられたおもちゃの金メダルを俺に見せびらかす。
「ああ、美菜は速いな。えらいぞ」
俺は美菜の髪をくしゃくしゃと撫で回した。
「えへへ、早くご飯食べよう!」
「ああ」
俺と美菜は手をつないで家族の元へ向かった。
みんなで奏とお母さんが作った弁当を食べている間も、美菜はかけっこの話をうれしそうにしていた。
「でねでね…」
「なあ美菜よ、父兄リレーなんだが」
そこで満を持してお父さんが仕掛けた。
「ふけいりれー?」
「家族の誰かと一緒に走るリレーなんだがな、美菜は誰と出たい?」
「パパ!」
美菜は即答だった。
「…ゆ…友パパでもいいんだぞ?」
お父さんも驚いたが諦めなかった。
「んーん!パパと走りたい!」
「まあまあお父さん、美菜は子どもなんですから、まだよくわからないんですよ」
俺はそう言ってお父さんの肩をポンポンと叩いた。
優越感に浸りながら。
「ちくしょう!帰る!」
「お父さん!」
立ち上がったお父さんを奏が止める。
お父さんは渋々座り直したが、かなり泣きそうだった。
そして父兄リレー入場。
「頑張ろうな、美菜」
「うん!パパとなら絶対一番になるよ!」
美菜はきゅっと俺の手を握った。
俺も強く握り返す。
美菜はもう片方の手で先生からバトンを受け取り、俺を引っ張ってスタートラインに並んだ。
「行くぞ、美菜」
「うん」
「よーい、どん!」