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嘆息の時
【その他 官能小説】

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嘆息の時-1

どうしよう……これって、恋か?
うーん……。
あの娘を見ると鼓動が早まる。
身体というか、顔が熱くなる。
それと、おもわず言葉が詰まってしまう。
えっと……それとそれと、あの娘と話してると変に汗をかいてしまう。

ふむ……恋だな、完全に恋だ。

はっはっはっ〜……ハア、ヤバい。
ヤバい! ヤバいぞ、俺! マジで好きになってるじゃん!!
え〜、皆様!
私、一回りも歳の離れた女の子に激熱をあげております。むふふっ。
なんて言ってる場合じゃねえぞ、このウンコマン!!

柳原啓一は、ひとり休憩室で頭を抱えていた。
「ヤバいよな〜、立場的に……やっぱダメだわ」
腑抜けた顔でボーッと天井を見ながら、おもむろに煙草を咥えてその先端に火をつける。
深く溜息をついた分、思いっきり煙を吸い込んだ。
「んっ? ぬわっ! な、なんだっ、げほっ!」
煙草の先端から燃え上がる青黄色の炎。
柳原は、大袈裟にふためきながらその火を消した。
「か、格好わりー! なんだよ、反対に咥えていたのかよ。よ、よかった〜、誰も居なくて」
柳原は、ひとり赤面しながら新しい煙草を咥えなおした。

レストラン業務に携わって8年。
努力家の彼は、3年目にして異例の店長昇進を果たした。
会社の規約を重視し、部下やアルバイト達の教育には魂でぶつかっていく。熱血だが、懐の深い、寛容な性格が部下達の心をグッと強く掴んでいた。
店長に昇進してから5年。
柳原の次なる目標は、エリアマネージャーになることだ。
その昇進試験を受けるには、店長業務5年の実績がいる。それは今年で満たされる。試験に合格する自信は、満ち溢れるほど持っていた。あとは、来年にある試験までの店長業務をそつなく行うだけだった。
「ふう……」
口をつくのは溜息ばかり。柳原は、続けざまに咥えた煙草に火をつけ、おもむろに就業規則のファイルを開いた。
「第三章、服務規律……セクシュアルハラスメントに該当するか、また該当すると思われる行為をしてはならない……か」
柳原は、セクハラに該当する項目欄へと眼を向けながら、再び頭を抱えた。
「ふむ……ようするに、相手が俺の事を100%好きだという確証がなければダメだって事だな……って、そういう問題じゃないか」
仮に上手く付き合えたとしても、彼女が同じ職場にいるというのは具合が悪い。店長という立場からして、それは出来るはずもなかった。
まあ、何はともあれ、恋慕相手は20歳の学生アルバイト。
32歳の男をまともに恋愛対象として見てくれるかどうか、まずはそこだろう。その部分をしっかりと見極めることが第一。後は、昇進試験に無事合格し、現場から一線引いた立場になってからの話だ。
やはり、店長が同じ店のパートアルバイトと付き合うなど、どう考えても無理だと柳原は思った。
「店長、あがりますね」
不意に背後から声をかけられ、柳原は大声を上げて椅子から転げ落ちた。
「きゃっ! て、店長、大丈夫ですか?」
「あたた、ビックリした〜!」
「ビックリしたって、それは私のセリフですよ! 挨拶しただけで、どうして椅子から転げ落ちる必要があるんですか?」
眼を丸くし、笑いながら言う滝川愛璃に、柳原も笑いながら起き上がった。
「店長って、本当に天然素材ですよね〜。あっ、そうそう、再来週のシフトって、もう出来ました?」
「んっ? ああ、出来てるよ、ほら」
柳原が差し出したシフト表に顔を近づけ、愛璃が屈んだ状態で動きながら正面の椅子に腰を下ろす。
柳原は、密かにシャツの隙間へと眼を向けた。
(おお! おっぱいの膨らみが!!)
業務から解放された愛璃が、ユニフォームである白シャツの胸元ボタンを二つほど外している。かがんだ拍子にその部分が下に開き、薄暗闇の中からは豊かな乳椀がうっすらと見えていた。


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