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桜が咲く頃
【ファンタジー 恋愛小説】

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桜が咲く頃〜変化〜-2

『いや、お礼だなんてそんな!
俺は何もしてないですし…』
そう言って断ろうとすると

『いつまたあの男達が来るかもわかりません…
私、怖いんです』
そう言って小春は、目に涙を溜めて矮助を見る。

『今日だけは、側に居て下さい…』
小春は矮助の胸にしがみついてきた。

(参ったなぁ…)
困る矮助。
しかし、そう言って自分の胸の中で震える女の子を、放っておくことはできず…



『今日は、ありがとうございました。
矮助様と一緒で楽しかったですわ』
小春の満面の笑みに対し、矮助は疲労の色を隠せない。

二人はあちこちの店を見て廻り、買い物をしたり、お茶をしたりしたのだが、ほとんど、小春に振り回されていた。

今は丘の上の野原に座り、夕日が沈むのを眺めている。

『小春さんが楽しんでくれて、良かったですよ…ハハ…』
矮助は乾いた笑顔で答える。

『また明日も、会って下さいます?』

『え゛!?』
小春の突然の申し出に、矮助は変な声しか出せなかった。

『迷惑…ですよね…』
上目使いで矮助を見ていた小春は、哀しげにうつむいた。

『いやっ迷惑ってわけではなくて…』
小春を傷付けまいと頑張り出した矮助。
だが、その頑張りが仇となり

『では、明日も会って下さいますね!
嬉しい!
では明日、小鳥が鳴く頃、ここで待っています』

『えっあの…』
小春は矮助の言葉を遮り、止めを刺す。

『私、矮助様が来るまで、ずっと待っていますから…』
憂いを帯びた、真剣な眼差し…

『小春さん…』

『では、ごきげんよう』
そう言うと、小春は笑顔で帰って行った。

『どっどうしよう…』
矮助は無理矢理、約束させられてしまった…


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