「赤い風船」-2
どんなに忙しくても…
どんなに僅かな時間でも…
彼女をもっと大切にして、悲しませてはいけない…
仕事が忙しくて、デートを何度もドタキャンした日もあった。
彼女は俺に言った。
「仕事と私、どっちが大事なのよ!!」
あの時、俺は返答に困ったが、今なら言えるよ。
「そんなセリフを言わせてごめん」と。
昼休みの僅かな時間に、俺は久々に彼女に電話した。
「元気してる?」
「別に…、何度もメールしたのに…」
マズイ、かなり機嫌が悪いようだ。
まぁ〜当たり前か
メールの返事すら
最近はまともに返してなかったから…
「心配してたんだからね〜!!」
「ごめんな…」
「いいの、あなたが怪我や病気じゃなくって…」
オレは仕事を休んで、彼女に逢いに行く事にした。
プレゼントと一緒に、付き合って一年なんで
一輪の薔薇を添えて…
彼女の住むマンション。
8階に彼女は住んでいる。
3ヶ月振りに逢う彼女は少し痩せたようだ。
髪を短く切り、栗色に染めていた。
「今、コーヒーを入れるネ」
満面の笑みの彼女。
そうだ、あの赤い風船に結ばれた手紙の話を
彼女にしようとポケットに手をやる。
しかし、何処かに落としたのか、手紙が無い…
整頓された彼女の部屋。
俺と二人で撮った写真が飾ってあった。
机にレターセットが置いてあるのに気付いた。