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「赤い風船」
【純愛 恋愛小説】

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「赤い風船」-1

今日も残業で遅くなってしまった。

時計の針は23時を過ぎていた。

今日も彼女にメールすら出来なかった。



翌朝、俺は彼女にメールを入れた。

しかし、返事が無い…

彼女も忙しいのだろう…


多摩川の土手沿いを歩いていると
何か空からふわふわと落ちてきた…

赤い風船だ!!

赤い風船には、何かが結ばれていた。

結ばれていたのは、一通の手紙。

オレはその手紙を読んでみた。




あなたには、心から愛する人は居ますか?

毎日が物凄いスピードで流れる時間。

愛しい人と一緒に
居れるのは、ほんの僅かな時間。

どんなに
仕事が忙しくても…

いつも心で
あなたの事を思ってる。

忙しくても
あなたはご飯をちゃんと食べてる?

忙しくても
ちゃんと寝てる?

忙しくても
私の事を忘れないで…

毎日でも
あなたに逢いたい…

毎日、あなたの写真を見てます。

あなたの写真を見てると涙が出て来ます。

逢いたい…

毎日でも…

でも、そんな事、恥ずかしくて
あの人に言えない…

私のこの思い、この風船で
あの人に届きますように…





この手紙を読んだ俺は、
何か大事な事を忘れていたような気がした。

虹は綺麗だが、その中に居る人には虹は見えない。

今まで俺は、彼女と言う『虹の中』にいた気がした。

幸福の中に居るのに、格別驚きもせずに
普通に生活していた日々。

仕事が忙しくても、俺と接する時間を
楽しみに生きている彼女に、時間を作る事は当たり前じゃないか。

とても申し訳なく思えてきた。

そして、彼女がとても愛しく思えてきた。


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